シーランド公国という「なんちゃって国家」が面白すぎます。いわゆるミクロネーションの一つで、爵位が買えるなんていう面白すぎる場所です!
ミクロネーションという言葉を知っていますか?
モデルカントリーや新規国家プロジェクトとも呼ばれ、各国政府や国際機関によって承認されていない非承認国家または実体のことで、実は世界中に数多く存在していたりします。
そして、このミクロネーションの代表格と言っても良い存在が、「シーランド公国」。
イギリスのすぐそばに位置し、一見すると「ギャグでしょ!?(というかギャグ)」としか思えない興味深い成り立ちや歴史、そして特徴を持っている自称国家なんです。
この記事では、そのシーランド公国について詳しく見ていきます。
前半では真面目な視点で基本的な概要を紹介していき、後半では面白すぎる特徴を7つ紹介していきます。
シーランド公国とは?
シーランド公国(Principality of Sealand)とは、イギリスのグレートブリテン島南東の北海に位置する「自称国家」またはミクロネーション。
北海の沖合にある構造物または海上施設の「ラフス・タワー(フォート・ラフス)」を領土と勝手に設定し、その場所を占拠している「ベーツ家」によって「国家」と自称されている「実体」であり、国際的に承認している国はない「非承認国家」です。
(出典:wikipedia)
また、(正式に承認されている国としては)世界最小の国土を持つバチカン市国よりも面積が狭いため、「世界最小の国」と言われることもあります。
そして、現在の人口は4人であり、公用語は英語、そして自称大公であり国家元首である「マイケル・ベーツ」によって管理されています。
シーランド公国の場所を地図で確認してみよう
シーランド公国が位置する場所は、下の地図にある通り、グレートブリテン島南東の北海。
(出典:wikipedia)
イギリスのサフォーク州の沿岸からおよそ12kmの沖合にあり、シーランド公国の領土であると主張される構造物「フォート・ラフス」は、イギリスの国土に非常に近い場所に位置しているのが分かります。
そのため、イギリスの領海内にありそうな気もしますが、シーランド公国の建国者「パディ・ロイ・ベーツがこの場所を勝手に不法占拠した当初、フォート・ラフスはイギリス領海外に存在したため、1968年の裁判所の判決ではイギリス司法の管轄外とされています。
さらに1987年10月1日、イギリスは領海を3海里(約5.5km)から12海里(約22km)へ拡大すると宣言し、本来であればこの時にシーランド公国はイギリス領海に含まれる(取り囲まれる)はずでしたが、なんとシーランド公国は、その前日である9月30日に自国の領海も12海里へすると宣言。
イギリスの領海が拡大する前に領海拡大を宣言した結果、
- イギリスの領海に取り囲まれることはなくなり、特定の国家主権に属さないで誰もが自由に使える公海へのアクセスを維持したままとなっている
- 非承認国家であり主権を持たないシーランドの領海拡大宣言は意味がないため、イギリスの領海内に含まれている
という異なる主張が存在しています。
シーランド公国の歴史ダイジェスト
大戦終了後に放棄された海上要塞を「国」として独立宣言した
自称国家「シーランド公国」が置かれているラフス・タワーは、かつて「HMフォート・ラフス」と呼ばれ、現在は使われなくなったマンセル海上要塞。
第二次世界大戦中に、対空砲用のプラットフォームとしてイギリスによって建設されましたが、対戦が終わると役目を終えたフォート・ラフスは放棄されます。
(出典:wikipedia)
そこで目を付けたのが、元イギリス陸軍少佐で非公式なラジオ放送(海賊放送)を運営していた、その後のシーランド公国の建国者「パディ・ロイ・ベーツ」。
当時、彼は非公式なラジオ放送によってイギリス側に訴えられ、それでもどうにか運営を続けていくことを模索していました。
その中で、「イギリス本土に非常に近いものの、イギリスの領海外に存在するためにイギリスの司法が手を出せない」フォート・ラフスに目を付けたのです。
結果、自らの海賊放送局を設立する目的で、このフォート・ラフスを部下と一緒に奪取して不法占拠し、1967年9月2日、勝手に「シーランド公国」を名乗って独立宣言をしてしまったのです。
フォート・ラフス自体は1965年からジャック・ムーアという人物とその娘によって不法占拠され、当時から海賊放送の拠点となっていたが、1967年にロイ・ベイツによって追い払われた。またロイ・ベイツは結局、海賊放送を開始することなくシーランド公国を宣言した。
独立宣言後から現在まで
1967年以降、HMフォート・ラフスは、これを独立国家であると主張するパディ・ロイ・ベーツ一家に占拠されて現在までに至ります。
また1975年、パディ・ロイ・ベーツは国家憲法および、国家のシンボルなるものを制定し、主権を持つ「主権国家」としての性格をシーランド公国に持たせようと企てますが、結局、国際社会から承認されていません。
そして、高齢になったパディ・ロイ・ベーツはイギリス本土へと移り住み、息子のマイケルを摂政に任命。
(マイケル・ベーツ:出典:wikipedia)
パディ・ロイ・ベーツは2012年10月に91歳で死去したため、現在はマイケル・ベーツがシーランド公国「大公」の爵位を引き継いでいます。
面白すぎる!自称&非承認国家「シーランド公国」について知っておきたい7つのこと!
さて、シーランド公国に関して真面目に基本的なことを紹介してきましたが、シーランド公国は存在自体が「エンターテイメント」!
ここからは、そんなシーランド公国に関して面白すぎる10のことを紹介していこうと思います。
1)行政に関する作り込み方がハンパない!
制度
1975年にシーランド公国は、なんちゃって憲法を制定したわけですが、その憲法の内容はいたって真面目。
前文と7つの条文から成っており、前文では、シーランド公国の独立が謳われ、また条文では、
- 立憲君主制
- 政府事務局への権限付与
- 任命された諮問議会の役割
- 任命された法律審判所の機能
- 「シーランドガード」に任命された人以外が武器を保有することは法律保護外になる旨
- 外交政策の策定および憲法改正における君主の独占権
- 君主制の父系による世襲制度
など、シーランド公国の立場に関する様々な取り決めが記されているんです。
さらに、シーランド公国の法制度は、イギリスのコモン・ローに従うものとされ、君主が制定する法令のかたちをとっているとかなんとか・・・本格的すぎます!
パスポートの発行
シーランド公国はまた、他の国と同様に希望者に対してパスポートを発行していたこともあったり。
ただし、そのパスポートの偽造品が大量に出回ったため、現在は販売されておらず、また、他国に承認されているものではないので、そのパスポートで他の国に入国出来るわけではありませんが・・・。
ちなみに、そのような意味のないパスポートであったため、欧州連合理事会によって「ファンタジーパスポート」(※幻想のパスポートという意味で)という名前が便宜上付けられています。
呼び名も本格的!
そして公国であるシーランドでは、各自の称号も凄い!
シーランド公国を治める国家元首は「◯◯公」と呼ばれ(名乗り)、その妻は「◯◯公妃」、そして国家元首の息子は「◯◯皇太子(殿下)」と呼ばれる(名乗る)んです!
国歌もある!(悲報・・・但し、歌詞はない)
また「主権国家」を自称するシーランド公国はもちろん国家だって用意しているんです!
ロンドン在住のBasil Simonenkoという人物が作曲したらしく、スロヴァキア放送交響楽団の演奏でCD収録が行われ、なんと「国”歌”」なのに「歌詞が無い」っていう「素晴らしい」出来になっているんです!
しかも、大人気(?)のため、CDリリースもされたらしいですよ!
2)シーランド公国では貴族の爵位販売中でございます。
シーランド公国はまた、卿(Lord)、男爵(Baron)、伯爵(Count)および、こうした称号や爵位の女性版を、個人を対象に絶賛販売中。
また、2012年にロイ・ベーツが死去した後、シーランド公国はナイトの称号と紋章の一般提供も開始しています。
ご興味のある方はぜひこの機会に購入を検討してみては!?
ちなみに、2012年以降、シーランド公国では騎士団の入団資格の一般販売も解禁されているので、(空想上だけど)騎士になりたい方は是非!
3)手紙を送りたいんだけど・・・
世界最小の自称国家「シーランド公国」の大ファンになってしまったアナタ。
もしもファンレターを送りたいなら、以下の住所へ送ってみましょう。
Bureau of Internal Affairs
5, The Row, SEALAND 1001
(c/o Sealand Post Bag, IP11 9SZ, UK)
あ、UK(イギリス)宛になっているのはご心配なく!!!
シーランド公国は万国郵便連合に加盟していないため、シーランド公国宛ての郵便住所はイギリス本土のサフォーク州イプスウィッチにある私書箱宛てとなっているだけです。
4)不法なデータセンター・・・オッケイー!
2000年のこと、HavenCoというスタートアップ企業が、シーランド公国にデータセンターを設立しました。
で、その理由というのが、「Haven」という名前からも分かる通り、「他国では違法とされているコンテンツの保存が可能なテータヘイブンを提供する」って言うのを売りにしたビジネスを始めようとしたから。
しかし、同社は多くの顧客を惹きつけることができず、その大半はオンライン・ギャンブルのサイトだったっていう始末・・・。
むしろ、HavenCoはシーランド公国の評判を落とすばかりとなってしまったため、結局、2008にシーランド公国によって閉鎖されています。
4)過去にはクーデターも起きちゃった!
1978年、国家憲法を草案したりシーランド公国の首相を名乗るなど、ベーツ公が仲間としてお気に入りだったドイツ人の「アレクサンダー・アッヘンバッハ」は、突然シーランド公国でクーデターを起こし、なんちゃって国家を支配しようと企てます。
というのも当時、アッヘンバッハは、シーランド公国全体を一つの豪華なホテルに変えたいと思っていたらしく、その計画に反対されたため、「どうせ元々不法占拠されて所有権も微妙だし、だったら自分の物にしちゃえ!」というのがキッカケのよう。
(出典:wikipedia)
結果、アッヘンバッハは、シーランド公国のパスポートを持っている弁護士と一緒に、武装した男たちの一行をシーランド公国に送り、息子マイケルを拉致してしまうんです。
しかしその後、ロイ・ベーツは20名程度の同士を募ってシーランド公国を奪還し、逆に、公国のなんちゃってパスポートを持つアッヘンバッハは反逆罪として投獄されることに。
その後、シーランド公国に干渉したくないイギリスはこれを無視し、当時の西ドイツは嫌々ながらも外交官を派遣して交渉をすることになり、アッヘンバッハは無事に解放されました。
ちなみに、外交官を送られたことで、ロイ・ベーツは「ドイツに公国が国家として承認された!」と勘違いして大喜び、これ以降「自称」ドイツに認められた国としてことあるごとに主張しているらしいんです。
6)売りに出されてたんかい!?
何もかもが素晴らしすぎるシーランド公国ですが、実は2007年から2010年までの間、6500万ポンドで国全体が売りにだされていたことがあるんです!
ただし、国家の「主権」は売り物ではないため、あくまでもシーランド公国側は「管理の移譲」を主張していましたが。
ちなみに、スウェーデンのウェブサイト「パイレート・ベイ」が買収の意思を示しましたが、残念ながらシーランド側が希望する「寄付金」を満たすことが出来ずに話はなくなってしまいました。
7)世界トップレベルのスポーツ選手を多く抱えている!
シーランド公国には、「自国」のスポーツ選手がたくさんいるんです!
例えば、シーランドのスポーツ選手達は、ミニゴルフ、サッカーなど、様々な競技に出場して国外で多く競い合っています。
そんな彼らの最大の強み(特徴)は、世界中に基盤を置き、シーランド公国の領地に1歩も足を踏み入れたことがないってこと!
ちなみに過去には、「自国」の選手がカンフーの世界選手権で準優勝したり、2008年の卵投げ世界選手権ではシーランド代表チームが優勝したりなど、その実績も抜群です!
彼らがどうやってシーランドの国籍を手に入れたのか?それは皆さんのご想像にお任せします。
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シーランド公国|爵位が買えるミクロネーションで非承認国家!場所を地図で確認して特徴も見ていこう!のまとめ
イギリスの近くに位置する自称国家で非承認国家のミクロネーション、シーランド公国について見てきました。
シーランド公国はとにかくその存在自体がとても面白い国。
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