イギリスに階級制度は存在するのか?職業や英語の違い(上流と労働者階級比較)など

現在、イギリスに階級制度は存在しないとされますが、実際のところはどうなのでしょうか?少し前に発表されたレポートをもとに、イギリスの階級について見ていきます。

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今日のイギリスでは、制度上は階級制度はありません。

しかし、イギリス人に関する話の中では、未だに「階級」ごとの特徴を耳にすることが多く、実際のところ、イギリスにはまだまだ階級意識が存在していると考えられます。

そんな中、2013年に現在のイギリスにおける階級に関する調査が発表され、制度上のものではないにしろ、イギリスには7つの階級が存在すると主張する報告がなされたので紹介していきたいと思います。

また同時に、昔から存在する非公式なイギリスの階級や、上流階級と労働者階級の英語の違いなども比較していきます。

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2013年に公開された今日のイギリスに存在する階級

2013年4月2日に雑誌「Sociology」にて、また、2013年4月3日にはBBC NEWSにて、2011年にBBCが実施し、その後、大学の専門家たちによる共同研究によって調査された「今日のイギリスに存在する階級」についての分析結果が公表されました。

この分析結果は、イギリスのイングランド在住で自身を「白人」と称する16万人を対象としたアンケートに基づいており、各階級は、経済的、文化的、社会的資産の量と種類によって測定されました。

また、3つの資産はそれぞれ、

  • 経済的資産は
    • 収入と財産
  • 文化的資産は
    • 文化的関心と活動の種類と量
  • 社会的資産は
    • 友人、家族、個人、そして職業的な対人関係における社会的地位と量

によって、定義づけされました。

その結果、現在のイギリスは「7つの階級が存在している」と言ってよい状況にあることが判明したのです。

そこで、まず、今日のイギリスに存在する7つの階級についてそれぞれを見ていきましょう。

今日のイギリスに存在する7つの階級

エリート階級(Elite)

イギリス社会の上位6%を占める上流階級で、豊富な資産(特に貯蓄)、社会的資産、そして非常に高い文化的資産を保有しています。

企業の代表取締役、ITや通信関係の取締役、マーケティング及びセールスディレクター、財務管理マネジャー、高等教育教師(大学教授など)、歯科医師、医師、弁護士や裁判官などの職種が代表的です。

イギリスにおいてこの階級に属する人たちは、最も高いレベルで3つの資産全てを保有しています。

確立した中流階級(Established Middle Class)

イギリス社会全体の25%を占め、経済的資産や社会的地位が高く、文化的資産も比較的高いレベルにあります。

多い職種には、エンジニア、作業療法士、助産師、環境専門家、都市開発担当者、特別支援の教育者などが含まれ、現在のイギリスにおける階級の中でも最も大きな割合を占めています。

テクニカル中流階級(Technical Middle Class)

イギリス社会のおよそ6%を占め、経済的資産は多いですが、社会的資産と文化的資産は比較的低く、社会的に孤立していたり、文化的なことへあまり関心を示さないのが特徴。

放射線技師、パイロット、薬剤師、自然科学および社会学の専門家、物理学者などの研究職、他にも、事務関係の職種やビジネスマンなどが比較的多く含まれます。

新しい豊かな労働者(New Affluent Workers)

イギリス社会の15%を占め、適度に中程度の経済的資産があり、社会的にも文化的にも比較的アクティブな若いグループ。

電気技師および電気取り付け師、郵便局員、小売店員、販売員、配管工および換気エンジニア、販売アシスタント、不動産職員、料理人アシスタントなどの職種に従事している人達が多く含まれます。

伝統的な労働者階級(Traditional Working Class)

イギリス社会の14%を占め、3つの資産タイプ全てが低い人たち。ただし、一部の人は住宅資産を有し、また、完全に困窮しているわけではないグループです。

電気技師、介護労働者、清掃員、トラック運転手、住込みや通いの介護者などの職種に従事している人たちが比較的多く見られます。

新興サービス労働者(Emergent Service Workers)

イギリス社会の19%を占め、経済的資産は乏しいながらも、適度な世帯収入があり、また、社会的資産や文化的資産は比較的高いのが特徴的な若いグループ。

バーテンダー、料理人、看護助手、組み立て工や作業員、介護福祉士、小規模な倉庫業、顧客サービス、ミュージシャンなどが代表的な職種です。

プレカリアートまたは不安定な労働者(Precariat, or precarious proletariat)

イギリス社会の15%を占め、経済的資産を含め、他のすべての基準でも最低の水準を示しており、また、仕事や収入も不安定で社会的に最も困窮しているグループ。

清掃員、トラック運転手、介護職員、大工、建具屋、管理人、レジャー及び旅行サービス業の一部、小売店のレジ係などが含まれます。

ステレオタイプ的なイギリスの階級

BBCが行った調査によって分類された、現代のイギリスにおける7つの階級を見てきましたが、イギリスには以前から、非公式に「上流階級」「中流階級」「労働者階級」と分類するステレオタイプが存在します。

そこで、この3つの非公式なイギリスの階級に関しても触れておきます。

ステレオタイプなイギリスの階級① 上流階級

イギリスの「上流階級」は非常に少数で、貴族、紳士、世襲的な地主などによって占められたグループを指すもの。

1代貴族ではない世襲制度によって受け継がれ、例えば、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵などの称号を有する者が多く上流階級に属しています。

従来、上流階級の子供達は初めの数年は自宅で乳母によって育てられ、その後、家庭教師によって家で教育を受けてきましたが、19世紀後半からは、中流階級の家族のように上流階級の子供であってもパブリックスクール(イギリスの私立学校の中でもTop10%を構成するエリート校)に通わせることが人気となっています。

また最近では、子供達の年齢が上がるとプレップスクール(エリート校へ進学するための準備教育を施す学校)に行くこともあります。

かつては英国陸軍や英国海軍に入隊したり、聖職者になったり、学問研究の道、特にイギリス最古で最も権威のある大学(オックスフォードやケンブリッジ大学など)において、芸術や人文科学を学んだりすることが上流階級の人たちのキャリアパスとなっていました。

ステレオタイプなイギリスの階級② 中流階級

中流階級に分類される階級グループは、さらに3つの層(上層・中層・下層)に分かれます。

上層中流階級

イギリスの上層中流階級は代々高収入の家族に生まれた人達からなっていますが、この階層は職業や収入よりも「家系」によって定義され、また、英語に関しては、いわゆる標準語とされるアクセントを身につけています。

上層中流階級は伝統的に、インディペンデントスクール(トップ校であるパブリックスクールを含む私立学校)で教育を受けており、多くの場合、何百年もの歴史を持つ学校の卒業生となります。

また、上層中流階級に属する家族の多くは、上流階級の直系であるものの、地主層ではないことが多かったり、男子がおらず、苗字や肩書きなどを継ぐ人がいなくなったりしたために、かつての地位が消滅してしまったパターンも多く含まれます。

そもそもの階級の分類が非公式なものであり、あくまでも主観に基づくため、常に正確というわけではあないですが、上層中流階級にはボリス・ジョンソンやデーヴィッド・キャメロンといった人物が含まれます。

中層中流階級

イギリスの公立または私立の学校に通い、大学を卒業している人たちが多く含まれるグループが、この中層中流階級に当たります。

典型的な職業としては、会計士、建築家、弁護士、検査官、ソーシャルワーカー、教師、マネージャー、ITスペシャリスト、エンジニア、医師、大学教育を受けた看護師、公務員などです。

また、中層中流階級に属する人は、政治にも社会にも積極的に参加する人が多く、教会に定期的に通う人や、地元の委員会や理事会に属したり公職に立候補したりすることも良く見受けられます。

中層中流階級においては教育が非常に価値のあるものとされており、子供達が大学教育を受けられるよう手を尽くすのも特徴で、学費を払って私立の学校に入れたり、優れた公立校に入れるために学区内に引っ越したりすることさえあります。

さらに、この層の人たちの多くは、文化に対しても価値を見出しており、本を購入したり劇場に行ったりすることも好きな傾向があり、政治的にはリベラルな政党を応援する傾向にあるようです。

下層中流階級

イギリスの下層中流階級は事務職に従事している人が主流。

大抵の場合、彼らは専門技術を必要としないサービス部門の仕事に就いていたり(小売販売や旅行代理店など)、自治体関連の仕事や、工場などで仕事をしています。

下層中流階級に属する人は大抵の場合、地元の方言で話すことが多いですが、訛りはそれほど強くありません。

また、1960年代以降拡大した高学歴志向以前は、この階級に属する人たちが大学を出ることはあまりありませんでした。

ステレオタイプなイギリスの階級③ 労働階級

イギリスの労働階級は主に二つのグループに分かれます。

グループ① 未熟練労働階級と半熟練労働階級

従来、この階級の人たちは肉体労働を行っており、義務教育が終わり次第、高等教育を受けることなく仕事を始める傾向にあります。

多くはイギリスの大手自動車工場、鉄鋼所、炭坑、鋳造所、繊維工場の組立ラインや機械工場に従事し、ウェストミッドランド地方、イングランド北部、ウェールズ南部、スコットランドのローランド地方などの工業都市で働いています。

また、一部の人たちは中流階級の下層部に上がることが出来た一方、それ以外の人たちに関しては、1970年代半ばから1980年代初頭の産業の空洞化によって多くの共同体が崩れ、生活の質が大幅に低下し、いわゆるワーキングプアに陥ったり、公共の福祉への慢性的な依存に陥ったりしています。

グループ② 熟練労働者階級

この階級の人たちは職人の見習い経験のあるタイプが多く、従来の建設業や製造業において「熟練した技術が必要とされる」職業や商売に携わっており、またここ数十年の間に、自営業者など起業家としての台頭も見られます。

また、地元訛りが混じった英語を話す人も多くいます。

政治に関して言えば、労働党支持率は高いものの、未熟練労働階級や半熟練労働階級の人々に比べて、保守党に投票する割合がわずかに高くなっているのも特徴です。

ステレオタイプなイギリスの階級③ 下層階級

下層階級に属する人々は、「慢性的に失業」している状態にあり、場合によっては、何世代にも渡って同じ状態から抜け出せなくなっている人たちのことです。

また、収入も非常に不安定であり資産もほとんど持たないため、通常は公営住宅に暮らしており、多くの場合、社会福祉制度に依存して、なかなか負のサイクルから抜け出せないのが特徴です。

上流階級と労働階級の英語アクセントを動画で比較!

イギリスの階級制度について見てきましたが、同じイギリス英語であっても、階級によって発音が全く異なります。

そこで一例として、上流階級の英語と労働者階級の英語が分かる動画を掲載しておくので、興味があれば確認してみてください。

上流階級の英語(ポッシュアクセント)

労働者階級の英語(コックニーアクセント)

合わせて読みたい世界雑学記事

イギリスに階級制度は存在するのか?職業や英語の違い(上流と労働者階級比較)などのまとめ

イギリスには階級「制度」は存在しません。

しかし、見てきたように、調査によると7つの階級に事実上分けることが出来たり、また、昔からの上流、中流、労働者という3つの階級意識が未だに存在しているようです。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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