インドの文化や習慣に関する11の特徴を紹介していきます。食文化や牛に対する考え方、他にも結婚や家族のこと、さらには祭りごとなどを確認してみましょう。
南アジアにおける大国インドの文化は、世界で最も長い歴史を持つ文化の一つ。その起源は、紀元前3000年頃から始まったインダス文明に遡ることが出来ると言えるでしょう。
そしてインドの地では、この長い歴史の中で多くの人種や民族が混じり合い、同地に花開いた文化は非常に多様な特徴を持つにいたりました。
そんなインドの文化は現在、世界中でちょっとしたブームになっていると言えるかもしれません。
例えば、インドの食文化を代表するカレーを始め、最近ではインドで制作された映画が世界的に人気になったりしています。
しかしカレーや映画だけでなく、インドの文化をさらに深く見ていくと、もっと興味深い多くの特徴を見つけることが出来るんです。
この記事では、そんなインドの文化や習慣に関して、11の特徴を厳選して紹介していこうと思います。
気になったら早速確認してみましょう。
インドの文化と特徴1:他言語な環境がインド!
「インド」と一概に言っても、そこには多くの異なる民族や文化背景を持った人々がいるのが実情。
そのため、確かにヒンディー語がインド全体(インド連邦として)の公用語として機能しているものの、日本人が「日本語」として想起するような言葉は存在しないと言った方が良いかも。
また、ヒンディー語が事実上のインド連邦の公用語となっているものの、2010年にインド西部グジャラート州の高等法院が下した判決によると、「インド連邦に公用語はない」という見解になっています。
そのため、インドの事実上の公用語として、人口の約40%がヒンディー語を日常でも使っているものの、それ以外の人々は方言を含むと800種類以上に上るとされるいずれかの言語を話し、また、各州もそれぞれ1つまたは1つ以上の公用語を独自に制定している状態。
さらに、インドの憲法には「公的に認定された言語(※非常に曖昧な位置づけで、州レベルでも公用語として採用されていない言語まで含まれる)」として22の言語が存在します。
加えて、英語が準公用語的な立ち位置で、完璧な英語ではないにしろ、多くの人に使われています。
とにかく、インド文化を理解する上で覚えておきたいインドの言語状況をまとめると、
- 事実上の公用語はヒンディー語
- 人口の40%は日常的に使用する
- ただし、高等法院の見解では「インド連邦に公用語はない」
- 方言も含めると800種類以上に上る言語が存在
- 人口の60%はヒンディー語以外のいずれかの言語を日常的に使う
- 各州は独自に1つまたは1つ以上の州単位の公用語を制定している
- 憲法によると22の「公的に認定された言語」がある
- ただし、公用語ではなくその立ち位置は非常に曖昧
- 英語が準公用語的な立ち位置にある
といった感じで、このインドの言語状況を一言で表すなら、まさに「モザイク的」であると言えそうです。
インドの文化と特徴2:多数派はヒンドゥー教徒
インドは、世界で3番目に信徒の多いヒンドゥー教誕生の地だけあり、その人口の大多数(約80%)はヒンドゥー教徒。
この大多数がヒンドゥー教徒と言う状況によって、社会構造の至る所でヒンドゥー教の教えや思想を見つけることが出来ます。
例えば、4つの階級と不可触民に分けるカースト制度は、現実問題、未だにインド社会には根強く残っています。
一方で、ヒンドゥー教徒の次に信徒を多く抱えるのがイスラム教で、その人口割合はおよそ14%。
その次に、キリスト教、シーク教などが続き、ヒンドゥー教と同じようにインドを起源とする仏教徒の割合は意外に小さくて1%未満となっています。
- ヒンドゥー教(79.8%)
- イスラム教(14.23%)
- キリスト教(2.3%)
- シーク教(1.72%)
- 仏教(0.7%)
- ジャイナ教(0.36%)
- その他(0.9%)
(※2011年国勢調査の結果)
インドの文化と特徴3:インドの食文化と言えば!?
インドの食材と調理法は、インド文化の形成にあたって絶対的に必要な要素であるだけでなく、インドが世界中で人気を得ている理由の1つとも言えるでしょう。
調理スタイルは地域によって異なりますが共通点として、
- インドの料理は香辛料やハーブを大量使用する
点を挙げることが出来ます。
そして、実際には言語や宗教状況と一緒で、インド国内ではこの香辛料やハーブを使った多種多様な食べ物を見つけることができ、この「大量の香辛料やハーブを使った料理」をひとまとめにして世界的には「カレー」と呼んでいるんです。
つまり、言い方を変えればインドには多種多様なカレーがあるってことですね。
一方、インド国内全域において、主食はほとんどが米と小麦、チャナ豆(ひよこ豆)です。
ちなみに、インドの食文化に関して、地域ごとの特徴を大まかに分けると次のようになるかと思います。
- グジャラート、南インド、ラージャスタンの主要な料理
- → ベジタリアン料理の傾向
- ムグライ、ベンガル、北インド、パンジャーブの大半の主要な料理
- → ノンベジタリアン料理である傾向
- カシミール地域における料理
- → 中央アジアやペルシア、アフガニスタンといった外国の調理スタイルによる影響を受けているものも多くある
インドの文化と特徴4:芸術文化
インドには多種多様な芸術文化が花開いていますが、その代表的なものを3つほどここでは挙げておきましょう。
インドの代表的な建築物と言えばタージマハル!
インドでもっとも有名な建造物といえばタージ・マハルでしょう。
16世紀初頭から18世紀後半にかけて、南端部を除いたインドを支配したムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが、自身の妃「ムムターズ・マハル」のために建立した墓廟。
総大理石で作られ、インド文化とイスラム文化を象徴する建造物だとして世界遺産へ登録されるなど、インド文化を知る上では欠かせない建築物です。
実は世界最大!?ボリウッド!
近年のインドでは映画産業も盛ん。
アメリカのハリウッドと、インドの都市ムンバイの旧名であるボンベイの頭文字をとり、「ボリウッド」と呼ばれるインド・ムンバイのインド映画産業は、実は「制作する作品数」において、本家ハリウッドを超えて世界最大だったりするんです。
ちなみに、インド映画の歴史は、リュミエール兄弟(トーマス・エジソンと並び称せられるフランスの映画発明者)がムンバイで映画を上映した1896年に始まったと言われています。
インド人と言ったらダンス!
また、インド映画に必ず含まれているように、インドと言えば「ダンス」。
インドには、国内の様々な地域を起源とした異なるダンスがあり、それぞれが発展し、混ざり合いながら、現在のインドにおけるダンス文化が醸成されていきました。
そんなインドの伝統的なダンスとして、次の8つは知っておくと良いかも。
- タミル・ナドゥ州のバラタナティヤム
- ケーララ州のカタカリ
- 北部、西部、中央インドのカタック
- ケーララ州のモヒニヤッタム
- アーンドラ・プラデーシュ州のクチプディ
- オリッサ州のオリッシー
- マニプール州のマニプリ
- アッサム州のサットリヤ
上記のダンスは、舞踊全てが一つの劇のようになっていて、踊り子や出演者がほぼジェスチャーのみで全物語を演じ、その物語のほとんどは膨大なインド神話に基づいています。
インドの文化と特徴5:インドの民族服について
インドの民族衣装として代表的なものと言えば、国内で多くの女性が身につけている色とりどりのサリーでしょう。
サリーは1枚の布のみで縫製を必要とせず、作るのが簡単で着心地が良く、また、宗教的な礼儀作法を忠実に守っている伝統服。
ヒンドゥー教の伝統文化としての起源を有しますが、現在は宗教を超えてとても優雅に普及しています。
一方で、男性が身につける伝統的で文化的な衣類としては、ドーティと呼ばれる腰布のように腰や足の周りに巻いて使う布や、ゆったりとした膝丈のシャツ「クルタ」や、フォーマルな場で好まれるシェルワーニーがあります。
インドの文化と特徴6:雌牛は神聖な生き物!
インド文化において、雌牛は神聖な生き物だとされるという事実は世界的にも良く知られているかも。
雌牛は母のように偉大だと崇拝され、母なる大地の恵みと考えられているのです。
また、牛飼いとして育ったクリシュナ神(ヒンドゥー教の神)に関しては頻繁に、
- 雌牛たちの間で横笛を演奏している様子
- 彼が奏でる音色に合わせて踊る牛飼いの乙女たちと一緒にいる様子
が描かれています。
興味深いことに、クリシュナ神は「ゴーヴィンダ」や「ゴーパーラ」の名でも知られていて、これらは「雌牛の友達」や「雌牛の守護者」を意味している点も覚えておくと良いでしょう。
さらに、現代のヒンドゥー教において最高神の一柱として考えられるシヴァ神が信頼する乗り物は、神聖な牡牛のナンディ。
このような理由から、雌牛に食事を与えたり雌牛の住まいを整えるために尽力することは、インド人にとって宗教的に非常に重要なのです。
実際、聖典ヴェーダの中では所々で、雌牛を保護し、世話をする必要性を強調しています。
またインドでは、法律により雌牛の食肉処理を禁じている州もあります。
インドの文化と特徴7:いつでもお祭りシーズン!
インドには、多様な宗教や同じ宗教であっても異なる宗派がいくつも存在することで、たくさんのお祭りも存在しています。
例えば、イスラム教徒はイードを、キリスト教徒はクリスマスやグッド・フライデー(聖金曜日)などを、シーク教徒はバイサーキ(農作物の収穫)などを祝います。
さらに、ジャイナ教徒はマハーヴィーラ・ジャヤンティーを、仏教徒はブッダプールニマーにお釈迦様の生誕を祝います。
そして、多数派のヒンドゥー教徒は、
- ディーワーリ(光のフェスティバル)
- ホーリー祭り(春の訪れを祝う)
- マッカル・サンクランティ(太陽が夏に向かって地球に近づいて来る最初の日)
- ガネーシャ生誕祭
- クリュシナ生誕祭
などを祝います。
このように、宗教をまたいで数えれば、数え切れないほどの祭りがインドにはあるのです。
ちなみに、同じヒンドゥー教であっても、マッカル・サンクランティとホーリー祭りは南インドでは祝いません。
逆に、南インド(ケラーラ州やタミルナドゥ州)では、収穫祭(州によって名称が異なる)がメジャー。
また、「全ての宗教を公平に扱う」が国の方針なので、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教(他の宗教については不明)の祝日は全て、学校や政府系銀行が全てお休みになるので、例えば、ヒンドゥー教徒が多い学校も、イスラム教・キリスト教の祝日には休みになります。
インドの文化と特徴8:断食は重要
断食はヒンドゥー教徒のインド人にとっては、文化的に欠くことのできない部分。
断食(ヴラッツ/ウプワース)は、自身の誠意や決意、感謝の気持ちを神々や女神たちへ表す手段であり、インド中の人々が様々な宗教的行事の期間中、断食を行います。
中には、特定の曜日と関連している特定の神や女神のために、その曜日に合わせて断食を行う人もいます。
断食を行うことはまた、体に必要なものまでをも体内から奪い、自身を罰し、その日までに自身が犯した罪を清める意味があると広く信じられているのです。
ただし、インドでは今日も非常に多くの人が断食を行っていますが、その数は年々減っていると見られています。
ちなみに「ウプワース」と言う言葉は、
- 断食
- 神様への捧げものを燃やすこと
- インドでは司祭が行う儀式(結婚、新築、安全祈願など)は室内で火を燃やして行う(家はレンガで出来ているので危なくない)
の両方を意味する言葉として使われています。
インドの文化と特徴9:寺院建設に重要な「磁場」という概念
インド国外ではあまり知られていないインド文化の側面として、寺院建設における「磁場」について紹介しておきましょう。
実は、インドにある多くの寺院は地球上の磁波線に沿って建てられています。
というのも、周辺で最も磁場が強い場所に寺院を建築することで、神がそこでプラスのエネルギーを得ようとした際に最大化出来ると考えられているから。
現地のインド人曰く、
- まず最初に付近で地球の磁場が最大になる場所を見つける
- そこに神様の偶像を設置する
- 司祭しか入れない聖域(ガルバグリハまたはムーラスタナンと呼ばれる)を設定して周りに壁を作る
- その後に寺院を建築していく
という流れで、寺院を建築していくそうです。
インドの文化と特徴10:合同家族という概念
インドにはまた「合同家族」という概念があり、家族全員(両親、妻、子供たち、場合によっては親戚までも)、同じ場所で一緒に暮らす状況が多く見受けられます。
これは主に、インド社会の結束を重んじる性格に起因するもので、またこの環境はある種のセーフティーネットとして働き、外から掛かったプレッシャーやストレスに対する緩和や対処に役立っていると言われます。
ただし、近年、インドの都市部における主に中流階級の若い夫婦の中には、近くに住みながらも両親と一緒に暮らさないカップルも増えています。
インドの文化と特徴11:お見合い結婚!
インドでは未だに親が決めた「見合い結婚」が盛んで、これはインドにおける一種の習慣と言っても良いでしょう。
インドにおけるお見合い結婚の概念は、早くはヴェーダの時代(紀元前1000年前後)まで起源を遡ります。
王族の花婿探しに「スワヤンバル」と呼ばれる儀式が行われていました。
全ての王国からふさわしいと思われる王子たちが招待され、花嫁を勝ち取るために様々なことを競ったり、また、花嫁自ら自身の理想の夫を選ぶこともあったのです。
そして今日でも、お見合い結婚の概念はインド人たちの間で好まれており、「インドの伝統」に欠くことのできない要素です。
ただし、このインドの伝統的または習慣的な見合い婚において、ふさわしいカップルの組み合わせを決めるプロセスは以下の様に長くて骨の折れる努力を要します。
- 男女間の多くの基準を洗い出す
- 占星図、宗教、カースト、職業上の地位、容貌、文化といった基準
- 基準の大部分が「夢の組み合わせ」になるようにする
- 全てがピッタリくるのが理想
- 条件が整った後で一家の年長者同士が直接会って交流を図る
- 話し合いが上手くいくと結婚へ向けた準備が本格的に始まる
ちなみに最近では、親同士が決めた後、本人同士を一度会わせて本人の意思を聞くプロセスも含まれるようになってきました。
そして、本人がどうしても嫌な場合は断ることもあります。
また、結婚が決まると、結婚式までの間に本人同士が電話やメールなどでコミュニケーションを取り合い、愛を深めることも多いです。
一方で、恋愛結婚は増えていますが、やはり、未だにお見合い結婚が多い現状は続いています。
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インドの文化や習慣11の特徴|食文化・牛・結婚・祭りのことなどのまとめ
インドには、数千もの伝統や習慣が存在し、それらの多くが外国人にも好奇心を抱かせています。
もしも、本格的にインド文化に対して興味を持ったのなら、一度、実際に現地を訪れてみるのも良いかもしれません。