インドネシアの民族の数や割合|ジャワ人・スンダ人・バリ人など多くの種類が存在

インドネシアの民族について数や割合なども含めて詳しく見ていきます。ジャワ人、スンダ人、バリ人など、インドネシアには非常に多くの民族が暮らしています

2億5千万人以上の人口を抱え、世界で最も人口の多い国の一つである東南アジアの国インドネシアは、多民族国家としても知られる国。

一方で、非常に多様な民族がいながら、民族ごとではなく国家としての理想をかかげた国家運営に取り組んでいます。

そして、近年は国内の各民族が平和に共存しながら安定した地域の一つになってきており、インドネシアは多民族国家のお手本となる国の一つと言って良いかもしれません。

この記事では、インドネシアに住む民族に関して、多数派民族として知られるジャワ人から、少数派でありながら国内で重要な存在と見られるスンダ人やバリ人など、他にいくつかの民族も見ていき、また、最後には各民族の数や割合などの一覧も掲載しておきます。

インドネシアとそこに住む民族について理解しておくことは、国際開発国際情勢、また社会政策などを学ぶ上では参考になることがあるかもしれません。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

多民族国家インドネシアとそこに住む民族

2億5千万人を超える人口を抱え、14,000以上の島を持つインドネシアに多様な民族が暮らしていることは決して驚くべきことではありません。

細かく民族を分けていった場合、インドネシアに住む民族グループの数は数十では収まらず、そこには300を超える多様な民族が存在すると考えられています。

一方で、人々の移動やこの地に移住者として新たにやってきた人たち、加えて他の文化や言語の影響などにより、インドネシアに住む各民族の定義は時に曖昧で厳格なものではない場合があります。

例えばチルボン人(Cirebonese)はジャワ人の一部とする考えがある一方、特有の方言を話すことから異なる民族グループであるとする考えもあるといった具合です。

そのため、同じ民族の名前を使ったとしても、定義によってはその範囲が異なり、微妙に民族の数や種類などが異なってくる点は頭に入れておく必要があります。

以下では、インドネシアの最大多数派民族とされるジャワ人と、少数民族でありながら国家に大きな影響を与えた民族のうち6つについて、ある程度詳しく見ていきたいと思います。

インドネシアに住む多数派民族と6つの重要な少数派民族

インドネシア最大多数派民族:ジャワ人

インドネシアにいる数百もの民族の中でも、国の人口に占める割合が最も大きいのが、主にジャワ島(特に中部と東部)を中心に暮らしているジャワ人。

その人口は2004年の時点で9000万人を超えており、当時のインドネシアの人口が2億2600万人であったことを考えると、全国民の40%を占めていたことになり、もしもインドネシア全体の人口と同じように数が伸びている場合、現在では約1億300万人程度にまで増えていると考えられます。

一方で、非常に大きな人口規模を抱えておきながら、ジャワ人の多くが住むジャワ島はそこまで広くない(日本の1/3ほどの面積)ため、ジャワ島は世界で最も人口密度の高い島の一つになってしまっているのです。

そして彼らジャワ人が用いるジャワ語は、インドネシアの公用語であるインドネシア語に強い影響を与えてきました。

また、ほかの多くのインドネシアの人々と同じように、ジャワ人の多くもイスラム教徒ですが、アーダート(イスラム教において地域独自の慣習法を指す言葉)にも従っており、様々な面でイスラムの教え以上に重きが置かれます。

インドネシアにおいて重要な少数民族達

スンダ人

インドネシアの民族の中でジャワ人の次に人口規模が大きいのがスンダ人。

全体でその数は3600万人以上にもなり、多くがジャワ人の住むジャワ島の西部で生活しているため、島の人口密度を一層上げています。

ジャワ人と比べて、上で触れたアーダートはほとんど重視しておらず、より伝統的なイスラム教の規範に従っているのが特徴です。

またジャワ語ではなく、独自の言語であるスンダ語を使用しています。

ジャワ人と比較するとその人口規模は見劣りするものの、人口全体の15%以上を占めているため、無視出来ないインドネシアの少数民族です。

マレー人

マレー人は、マレー半島、スマトラ島東海岸、ボルネオ島沿岸部などに住んでいる、またはこれらの場所に起源を持つ、マレー語を話す人たち。

インドネシアにおいては現在、国内の島々に点在しており、マレー人全体の合計数は500万人以上だとされています。

国内全体の人口比に対して2%強と決して数の上では大きな民族グループではないものの、マレー人には元々商人が多かったため、彼らの話す言葉が現在インドネシア語として使われている言語に大きな影響をもたらし、インドネシア語の礎の一部を築いたことから、重要な少数民族の一つと言えます。

バリ人

バリ人はバリ島の先住民で、現在もその多くがバリ島に住んでいるインドネシアの少数民族。

その人口はおよそ400万人程度で、インドネシアの人口のおよそ1.6〜1.7%前後を占めるとされます。

一方で、バリ人の大多数はヒンドゥー教の有力宗派の一つ「シヴァ派」を信じているのが特徴。

インドネシア国内ではヒンドゥー教徒として圧倒的な存在を保っている点で、非常に重要な民族と言えます。

また、インドネシアはバリ人がヒンドゥー教を信仰する自由を国家として保証しており、多民族国家運営において重要なポイントの一つを確認することが出来ます。

中国系インドネシア人

今もなお商人として、またビジネスマンとしてインドネシアの島々を渡り歩いているのが中国系インドネシア人。

人口全体の1%を少し超えるくらいなため、総数としては決して多数派ではないものの、他のインドネシアの民族とはいくつかの点で一線を画しています。

第一に中国系インドネシア人の中でイスラム教徒は少数で、代わりに仏教徒かキリスト教徒が多いのが特徴です。

また第二に、国内の富裕層に属していることが多く、インドネシアの経済やビジネスにおいては非常に重要な民族グループです。

アチェ人

インドネシアのスマトラ島北端に位置するアチェ州を主な拠点とするアチェ人は、インドネシア全体の2%にも満たない民族であり、中国系インドネシア人のように、民族全体として富を多く抱えているわけでもありません。

しかし、アチェ人の中でもイスラム教を信じている人々は、インドネシアの他の地域のイスラム教と比べても保守的であるという特筆すべき点があります。

そのため過去には、一部の住民がより厳格なイスラム国家樹立を目指し、インドネシアからの独立を要求したこともありました。

一方で、インドネシア一帯にくまなく広まったイスラム教の始まりは、このアチェ人達からだとも考えられ、現在のインドネシアに少なくない影響を与えてきた民族グループです。

インドネシアにいる各民族と割合

最後にインドネシアに現在住んでいる民族の中でも、主だったグループを数や割合と一緒に一覧にしたものを紹介しておきます。

(※この数値は2010年に行われた調査によるものであるため、現在は少し異なっているかもしれません)

民族人口 (百万)主な居住地
ジャワ95.21740.22
ブンクル州, 東ジャワ州、 東カリマンタン州、 中部ジャワ州、ジャンビ州、ランプン州、北スマトラ州、リアウ州、南スマトラ州、ジョグジャカルタ特別州
スンダ36.70115.5バンテン州, 西ジャワ州
バタック8.4663.58
北スマトラ州、リアウ州、リアウ諸島州、ジャカルタ
他のスラウェシ島の民族7.6343.22スラウェシ島
マドゥラ7.1793.03東ジャワ州
ブタウィ6.8072.88ジャカルタ
ミナンカバウ6.4622.73リアウ州、 西スマトラ州
ブギス6.3592.69
中部スラウェシ州、東カリマンタン州、北カリマンタン州、南スラウェシ州、南東スラウェシ州、西スラウェシ州
マレー5.3652.27
バンカブリトゥン島、ジャンビ州、リアウ州、リアウ諸島州、南スマトラ州、西カリマンタン州
他の南スマトラ州の民族5.1192.16南スマトラ州
バンテン4.6571.97バンテン州
他の東ヌサトゥンガラ州の民族4.1841.77東ヌサトゥンガラ州
バンジャル4.1271.74
南カリマンタン州、中部カリマンタン州、東カリマンタン州
アチェ4.0911.73アチェ州
バリ3.9461.67バリ州
ササック3.1731.34西ヌサトゥンガラ州
ダヤク3.0091.27
中部カリマンタン州、東カリマンタン州、 北カリマンタン州、西カリマンタン州
中国系インドネシア人2.8321.2
バンカブリトゥン州、 北スマトラ州、 ジャカルタ、リアウ州、リアウ諸島州、西カリマンタン州、メダン
パプア2.6931.14パプア州、西パプア州
マッカサル2.6721.13南スラウェシ州
他のスマトラ島の民族2.2040.93スマトラ島
モロッコ2.2030.93マルク州、 北マルク州、南東マルク県
他のボルネオ島の民族1.9681.74ボルネオ島
チルボン1.8770.79西ジャワ州
他のジャンビ州の民族1.4150.6ジャンビ州
他の西ヌサトゥンガラ州の民族1.280.54西ヌサトゥンガラ州
ゴロンタロ1.2510.53ゴロンタロ州
ミナハサ1.2370.52北スラウェシ州
ニアス1.0410.44北スマトラ州
外国人0.1620.07ジャカルタ、他の首都圏

合わせて読みたい世界雑学記事

インドネシアの民族の数や割合|ジャワ人・スンダ人・バリ人などのまとめ

インドネシアは何百もの民族を抱える、世界でもっとも多様性のある国の一つです。

それにも関わらず、多様性を受けいれつつ、インドネシア人としての意識をもたせるような新しい社会構造の構築に成功しています。

今回紹介した民族と同時に、インドネシアについて学ぶことは、グローバル社会における国家運営や組織運営において参考になることがあるかもしれません。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

error:Content is protected !!