ポヴェーリア島|イタリアの呪われた島または幽霊島の歴史と噂

ポヴェーリア島はイタリアのヴェネチアにある小さな島で、呪われた島や幽霊島と言われます。しかし、客観的な歴史を確認していくと、どうやら噂や誇張された話に過ぎないことが分かってきます。

世界各地、長い歴史のある場所には特におどろおどろしい評判と呪いの噂が存在しますが、これは理解にかたくありません。

そんな場所の一つが、イタリアのヴェネチアの潟にあるポヴェーリア島です。

「呪われた島」や「幽霊島」と呼ばれ、現在無人島となっているこの島は、ヴェネツィアで病気になった人たちを隔離するために長年使われ、中には残酷にも人体実験をされた人々までがいたと言われます。

しかし、このようなネガティブな噂は、真実から相当かけ離れた都市伝説の類であるようなのです。

この記事では、ポヴェーリア島の客観的な歴史を確認していき、その後に現在、この島に関して広く知られる噂や伝説的な話を紹介していこうと思います。

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ポヴァーリア島とは?その歴史を確認してみよう。

ポヴェーリア島とは、北イタリアのヴェネツィアにある潟と長さ11kmのリード島の間にある、0.07㎢の限られた面積しか持たない小さな無人島。

水路によって、建物が立つ第一の島と、木立や野原が広がる第二の島の2つに分かれており、それぞれが橋で結ばれている構造を持ちます。

かつては人が住んでいた島だった

かつては、イタリア本土に攻め込んだ蛮族たちから逃れるために、パドゥア人とエステ人が421年に逃げ込んで住み着いたとされている場所で、野蛮人とそこに暮らす人々との間に戦いやいさかいがあったようですが、9世紀頃まで人口は徐々に増えていき、島の歴史において最も平和な時期が訪れました。

しかし1379年、ヴェネツィアはジェノヴァ共和国の艦隊から攻め込まれ、「命が惜しければ島を捨てるよう」に言われた住民達は、ヴェネチアの潟にある島の一つ「ジュデッカ」に移されました。

その後、島はヴェネツィア人たちがジェノヴァの侵攻を食い止めるための戦場と化しましたが、最終的には人が住まない無人島となってしまいました。

ちなみに、当時のヴェネツィア政府が作った、潟への侵入を防ぐ8角形の要塞の1つが今も現地には残っています。

隔離収容所としての役割が課されたポヴェーリア島

数世紀の間、ポヴェーリア島は無人島となり続けましたが、この地には砦が建設され、1645年からはヴェネチアの潟への出入りを管理するための拠点の一つとなり、1776年にはヴェエネチアの「公衆衛生局」の管轄下となります。

これは、ヴェネチアは重要な貿易港で衛生に関して厳しい法律があったため、多くの人が行き来した場所でちょうどヴェネチアの潟の端らへんに位置するポヴァーリアは、公衆衛生検査の場所としてはうってつけだったのが理由です。

ここで全ての商人達は、衛生的に問題ないことが確認されるまで一定期間留まることを義務付けられたのです。

そんな中で1793年のこと、チェックポイントを通過しようとした2隻の船に複数のペスト患者が乗船していることが発覚。

その結果、ポヴェーリア島は一時的な隔離収容施設として使用され始め、ナポレオン・ボナパルト時代の1805年には恒久的な隔離収容施設となり、1814年まで使用し続けられたのです。

20世紀に入ると精神病患者の隔離場所として利用された

そして20世紀に入ると、ポヴェーリア島に残っていた建物は修繕され、精神病患者のための病棟となりました。

精神病患者用の施設として使われていた間には、

  • 幽霊を見た
  • 泣き声を聞いた
  • 他の超常現象を目撃した

という入院患者による訴えが報告されていましたが、全て精神病患者の幻覚によるものだと片付けられたという話が残っています(真偽は不明)。

一方で、その後、精神病院としての役割は終わりを告げ、老人ホームや長期のケアが必要な人たちのための施設として使われ、1968年に閉鎖されました。

農地として貸し出され、現在はオークションにかけられている

施設が1968年に閉鎖されてから、ポヴェーリア島は少しの間、農地として使われました。

しかし結局は放棄され、2014年からイタリア政府の方針で、99年間の貸与の条件でオークションに出されました。

ただ、2019年になっても未だにポヴェーリア島の開発は始まっていないとされ、特に進展がない状況となっています。

ポヴェーリア島に関する数々の噂や都市伝説!こうして幽霊島や呪われた島が作り上げられた

ポヴェーリア島の歴史について簡単に触れてきましたが、客観的な史実だけを見るといたって普通の島です。

しかし、実際に起こったかどうか不確かな噂や話によって、この島は幽霊島や呪われた島と呼ばれるようになりました

ここからは真偽は確かではないものの(おそらく嘘)、ポヴェーリア島に関する話として良く挙がる噂や都市伝説の類をいくつか紹介していこうと思います。

14世紀に起こったペストの大流行時に患者の隔離場所として使われた

14世紀後半、ヨーロッパではペストが大流行したことがありました。

ペストはヨーロッパ全土を襲い、想像を絶する割合の人口が亡くなりました。

そして噂によると、ヴェネツィアの潟にあった島々はラザレット(隔離病棟)と呼ばれ、ペストの兆候を見せた人たち(実際にはペストに罹っていなかったのかもしれない)も強制的に送り込まれ、ポヴェーリア島もその1つだったというのです。

初めの数年は一時的な隔離場所として使われていましたが、イタリアでペストが猛威を振るうようになってからは、少しでも症状が現れたものは強制的に家族から引き離され、ポヴェーリア島に移住させられ、長いこと苦しみながら、最後には孤独な死を迎えることとなったと言います。

疫病に倒れた人々は焼かれるか埋められるか、もしくは島にそのまま放置されるかされ、病人は生きたまま焼かれるという話まで伝えられているぐらいです。

しかし、この噂に関しての根拠は残っていなく、1793年から1814年までの間、短期間にしろペスト患者の隔離施設として利用された事実が一人歩きし、いつの間にか14世紀のペスト大流行と結び付けられて都市伝説のように誇張されてしまったようです。

16万人以上が島で命を落として人骨が埋められている?

また、上で紹介した噂によると1400年頃から1814年まで隔離施設として数世紀使われていたことになっています。

その結果、数世紀の間に16万人以上が島で命を落とし、その遺灰や人骨が島の土壌の大半を占めているという話が生まれ、ポヴェーリア島は多くの人が苦しみながら死んでいった「呪われた島」や「幽霊島」としていつしか語り継がれ始めていったようです。

土壌すら腐敗した?

さらに、苦しみながら亡くなった人々の数があまりにも凄まじいため、それによるネガティブなエネルギーは島の大地に染みこみ、島の土壌を腐敗させたという話も残っています。

しかし、この島は20世紀に農地として貸し出されていることからも分かる通り、土壌が腐っているといったことは決してありません。

それでも、農地として貸し出されたものの結局は放棄されてしまったことで、「呪われた島の腐った土壌」という噂が強まることになってしまいました。

精神病院にいた医師がロボトミー手術を施した?

一度「呪われた島」との汚名が付けられてしまうと、なかなかそのイメージを拭い去ることが難しいのでしょうか。

20世紀に入ってポヴェーリア島の建物が精神病患者の施設として使われていたこともあり、今度は精神病院にまつわる噂が広がりました。

その噂によると、

精神病院にいた医師の1人が病院の時計塔で患者たちに無理やりひどいロボトミー手術を受けさせており、患者の叫び声が病院内で聞こえる

ことがあったというのです。

また続きとして、

この邪悪な医師は次第に自分の行いによって正気を失っていった。医師自身が精神を病み、この島の数知れない幽霊に取り憑かれた。そして我を失って鐘楼の天辺に上って身を投げた

とか

苦しんで亡くなっていった精神病患者の中にはその後に病院を恨む幽霊となって現れ、院長を発狂させた結果、精神病院は閉鎖された

という話がありますが、1968年に閉鎖した段階では、いわゆる老人ホームの様な場所として使われていたため、これも噂が一人歩きして都市伝説のようになってしまったものだと言えそうです。

今でも叫び声が聞こえる?

何千人もの虐待された魂が、今日もポヴェーリア島に閉じ込められていると考える人もいます。

無理やり島に連れてこられた大勢のペスト患者から、かつてこの島にあった精神病院で虐待された人々まで、この島は現在でも悲しみと苦しみで満ちている

という話で、実際にその叫び声が今でも聞こえるらしいのです。

さらに、ポヴェーリア島を訪れた人達は、怪奇現象を経験したと報告をすることもあります。

それによると、

  • 何者かに見られているという感覚を持った
  • 見えない何かに引っかかれたり押されたりする感覚持った
  • 何かに壁に押し付けられた
  • 何かに廊下を追いかけられた
  • 崩れかかった建物を探検する自分たちと一緒に壁の影が動く
  • 「直ちに立ち去れ、二度と戻ってくるな」と恐ろしい声で島に戻らないように命じられる

という現象らしいです。

また、この島へ入った超常現象を扱うテレビ番組の司会者は、「短期間の間幽霊に取り憑かれた」と主張しています。

とはいえ、これらの現象を証明するものではなく、超常現象を扱うテレビ番組に関しては「ヤラセ疑惑」も浮上しています。

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ポヴェーリア島|イタリアの呪われた島または幽霊島の歴史と噂のまとめ

イタリアのヴェネチアの潟に浮かぶポヴェーリア島について見てきました。

現在は呪われた島や幽霊島と呼ばれていますが、客観的な史実に基づくと、実はそうではないようでです。

18世紀頃にペスト患者の隔離場所として短期間使われていたこと、さらに、20世紀に精神病患者の施設として使われていたことがネガティブなイメージを作り上げ、ポヴェーリア島にまつわる都市伝説のような話が生まれてしまったようなのです。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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