世界中に散らばる神話に登場する女神の中でも、絶対に怒らせたくないパワフルな女神達を、11柱ピックアップして紹介していきます。
有名なギリシャ神話や北欧神話を始め、世界には非常に多くの神話が存在し、各神話の中には無数の神々が登場します。
そして、これら神話に登場する神々には男神だけでなく女神も含まれ、中には男神をも圧倒してしまうほどの力を持った女神を見つけることが出来ます。
この記事では、世界中にある神話の中から、男神以上の存在感を示すと同時に、その力強さから絶対に怒らせたくない11柱の女神達を紹介していきます。
気になったら確認してみましょう!
神話の女神1:ヘーラー
古代ギリシャに信仰されていたギリシャ神話では、数多くの神々や英雄、そして怪物が登場するだけでなく、そこに登場する神々はまるで人間のような性格を持ち合わせ、それによってたくさんの愛憎劇が繰り広げられました。
ヘーラーは、このギリシャ神話に登場する最高位の女神で、最高神ゼウスの妻として知られますが、同時に、特に女性にとっては絶対に嫉妬されたくない存在でした。
というのも、ヘーラーは稀に見る嫉妬深い性格の持ち主で、ゼウスの浮気相手や、ゼウスが浮気相手と作った子供に対して、酷い仕打ちをして数々の悲劇を引き起こしたから。
例えば、ゼウスとミケーネ王家の娘アルクメーネーの間に生まれたヘラクレスは、本来はミケーネ王となるはずでしたが、ヘーラーの嫉妬によってその道を断たれただけでなく、ヘーラーの力で正気を失い、自らの子供達を炎に投げ込んで殺してしまいました。
神話の女神2:テフヌト(古代エジプト神話)
人間が作り上げた文明の中で、最も古い文明の一つとして数えられる古代エジプト文明に生きた古代エジプト人達は、およそ3000年もの間、独自の信仰を持っていたとされ、その信仰に基づいた神話は「エジプト神話」と呼ばれます。
このエジプト神話の中で「テフヌト」は「湿気、雨および露の女神」であり、砂漠の国では極めて重要な任務を担っていたと描かれました。
またテフヌトは、太陽神ラーの娘であり、ライオンの頭をした女神として描かれ、時には蛇の身体を持つとされる場合もあります。
そしてもちろん、このテフヌトを怒らせないようにすることは、当時のエジプトの人々にとっては死活問題だったのです。
というのも、テフヌトが激怒すると日照りが起こり、生命に重要な水不足が起こってしまうから。
逆に、「テフヌトが機嫌を良くなる=新しい命の誕生」という意味でもあったため、味方にすれば文明社会の発展にとっては非常に心強い女神だったと言えるのです。
神話の女神3:ヘル(北欧神話)
北欧と呼ばれるスカンディナヴィアに古来より住んでいた人々は、ノース人と呼ばれた時期がありましたが、このノース人達がキリスト教かされる前に持っていた信仰に基づくのが「北欧神話」または「スカンディナヴィア神話」と呼ばれる神話。
北欧神話の中には様々な神々が登場するわけですが、その中でも明らかに怒らせたくない女神が「死者の国の支配者」とされる女神「ヘル」です。
この北欧神話の女神ヘルは、死者を裁くというきわめて重大な任務を担っていただけでなく、北欧の終末論においても重要な、そして恐ろしい役割を担っていました。
北欧の終末の日を予言するラグナロク伝説では、死者の爪で作られた船に乗った死者の軍勢を、ヘルが率いる役目を果たしたとされるからです。
ちなみに、北欧神話の中では唯一、死者を正者に戻す力を有するとされるため、味方に出来れば心強い存在でもあります。
また、英語で「地獄」と言う意味の「Hell」と共通の語源を持つとされることから、同じ様な意味を持つ名前になっています。
神話の女神4:柳杏聖母(ベトナム民間信仰)
現在のベトナムには仏教徒やキリスト教徒が多いですが、一部では昔から伝わる土着の精霊信仰(アニミズム)や、近隣諸国から伝わって形成された独自の民間信仰が存在します。
そんなベトナム民間信仰の一つに登場するのが、柳杏聖母(りゅうきょうせいぼ)と呼ばれる女神。
(出典:wikipedia)
柳杏聖母は、ベトナムの紅河デルタ地方の人々に信仰されている4人の不死の神の一人で、道教およびその他の東アジアの神学の中心的な神である玉皇大帝(宇宙の支配者)の娘。
そして、絶対に怒らせたくはない存在です。
ある日、柳杏聖母は自らに捧げられた寺院の一つが破壊された時、そこに住む住民達に対して重い病を患わせて復讐したとされます。
さらに、18世紀の女流詩人による記録で、柳杏聖母は女性解放の象徴的存在であり、女性の力の化身とされていることから、女性を怒らすとどれだけ恐ろしいかを知っている人にとっては、それだけで畏怖の対象となる存在と言えるでしょう。
ちなみに、北ベトナムが共産主義政権下となった時代の初期に、柳杏聖母の信仰は容赦なく抑圧されましたが、1980年代以降、徐々に同女神に対する支持が復活してきています。
神話の女神5:イシュ・チェル(マヤ神話)
紀元前の古代から16世紀にスペイン人によって滅ぼされるまで、ユカタン半島、メキシコ南東部、グアテマラなどの地域に存在したマヤ文明の中では、独自の「マヤ神話」が伝承されていました。
そして、このマヤ神話の中に登場するのがイシュ・チェル。
「不気味な姿の年老いた助産師」という表現がピッタリで、出産と戦いを司り、ジャガーの爪や耳を持ち、頭飾りに蛇をまとう老女として描かれた女神です。
「出産」を司っていたため、イシュ・チェルを祀った信託所には、多くの女性が巡礼に行くほどでした。
一方で、イシュ・チェルはたいへん恐ろしい存在で、決して怒らせたくはない女神でした。
というのも、イシュ・チェルが怒ると、地上に大量の雨を降らせると同時に洪水を引き起こすと考えられていたから。
さらに、この怒れる老女を鎮めるためには、生贄を捧げなければならなかったようなのです。
神話の女神6:マミワタ(アフリカに起源をもつ伝承)
マミワタは、アフリカに住むアフリカ人、そして大西洋を越えて世界中へ散らばったアフリカ人の間で崇拝されている存在。
(出典:wikipedia)
稀に男性として描かれることがあるものの、一般的には女性の姿として描かれる聖なる存在で、マミワタは水の精霊の化身として水の精霊達を統治し、その外見は人魚の様であり、神の象徴である蛇を体にまとわせています。
そして、アフリカ人の間に伝わる伝説や伝承の中でマミワタは、興奮しやすい激しい気性を持つ一方、守り神でもあり、また富を授けてくれることから、魅惑的な神としても描かれます。
さらに、治癒や出産に結びつけられることもあるため、激しい気性を刺激しないようにすれば、とてもありがたい存在となる女神だと言えるのです。
神話の女神7:媽祖(中国の道教)
中国で生まれた道教は、中国三大宗教の一つとされますが、道教を基にした話の中には、世界に散らばる他の神話のように数々の神が登場します。
(出典:wikipedia)
その道教の神の一人である「媽祖(まそ)」は、漁師や船乗りを海の怒りから守る海の守護女神。
伝説によれば媽祖は元々、死を免れない運命の人間の女性「黙娘」として960年に生まれました。
宋代に実在した官吏の娘であった黙娘は、漁師の船が安全に戻るよう導く際、赤い服に身を包み、超自然的な力を使うこともあったと言われるなど、生涯を通じて「奇跡の人」としてもてはやされ、それ以来、媽祖や天后として中国や台湾の船乗りたちに崇拝されてきたのです。
一方で媽祖は、元々「悪神」とされていた千里眼(せんりがん)と順風耳(じゅんぷうじ)という二神を脇に付き従えるなど、他の神でさえも(しかも元々は悪い神であっても)ひれ伏してしまうほどで、まさに畏怖の対象と言ってよさそうな女神です。
神話の女神8:ティアマト(バビロニア神話)
世界最古の文明の一つとされる古代メソポタミア文明において、紀元前4千年紀(紀元前4000年から紀元前3001年)から、およそ4000年に渡って信仰されてきたのがメソポタミア神話。
そしてティアマトは、この神話における原初の海の女神です。
(出典:wikipedia)
紀元前18世紀頃に成立した創世記叙事詩「エヌマ・エリシュ」によるとティアマトは、淡水の神で夫であるアプスーと共に数々の神々を誕生させて世界を創造しました。
その後、アプスーはすぐにその神々が悪ふざけをして騒ぎ立てることに腹を立てるようになり、その神々を滅ぼそうとしますが、逆に殺されてしまいます。
復讐に燃えたティアマトは、その神々と戦うために血ではなく毒で満たした悪魔の軍隊(11の怪物)を召喚したのです。
しかし、若い神々によって選ばれた男神マルドゥクと対峙し、最終的には敗れてしまいまいた。
ただ、死してなお、ティアマトは他に類を見ない女神だったようです。
神々のなかで新たに王座についたマルドゥクによって、二つに引き裂かれたティアマトの体は、それぞれが天と地になったと言うのです。
神話の女神9:天照大神(神道)
天照または天照大神(あまてらすおおかみ)は、日本の神道に基づく日本神話に登場する主神で、日本国民にとっては総氏神であると同時に、初代天皇とされる神武天皇の祖先とされる女神。
(出典:wikipedia)
その名が「天を照らす大いなる神」を意味することからも分かる通り、太陽神としての性格を持ち、世界でも稀にみる女性の太陽神で、気分を害することは絶対に避けたい女神の一人です。
天照大神が関わる主な神話の物語には、弟である嵐と海の神「スサノオ」との対立を扱ったものがあります。
スサノオが馬の皮を剥いでそれを天照大神の機織り部屋の穴に投げ入れたことに腹を立て、天照大神は洞窟のなかに身を隠してしまい、それにより、この世が闇に包まれ暗黒の時代がもたらされたという話です。
天照大神は最終的になだめられて洞窟から出てきましたが、一方のスサノオは天界から追放されました。
神話の女神10:ロヴィアタル(フィンランド神話)
フィンランドの地において、18世紀頃まで口頭伝承されていたのがフィンランド神話で、民間伝承として様々なものが存在していました。
これらこのフィンランドの民間伝承は、19世紀になると「カレワラ」というフィンランドの民族叙事詩としてまとめられます。
そして、フィンランド神話の中で度々姿や名前を変え、カレワレの中で目が不自由な死の神の娘として登場するのがロヴァイアタル。
ロヴィアタルは、疫病、不妊症、癌をはじめとする9つの病気を誕生させた恐ろしい存在として描かれているのです。
さらに、ロヴィアタルは「ロウヒ」という名前の変身が可能な強力な魔女となり、叙事詩の主人公と激戦を繰り広げただけでなく、太陽や月、そして星をも盗もうとしたこともありました。
神話の女神11:アナト(ウガリット神話/古代セム族の神話)
ウガリット神話とは、シリアの地中海岸にあった古代都市ウガリットから見つかった粘土版に記されていた神話で、後にアラビア語やヘブライ語を話す民族グループが誕生したセム語系の民族によって創作されたと言われるもの。
同じセム語系民族に起源を持つ旧約聖書などとは、共通の内容が見られるとされます。
(出典:wikipedia)
そして、このウガリット神話に登場するのが「アナト」という女神です。
このアナトは「愛と戦いの女神」で、間違いなく味方につけるべきで絶対に怒らせたくない女神。
というのも、嵐の神バアルの妹である処女戦士アナトは、戦いでの獰猛さで有名だから。
古代ウガリット文書には、アナトをないがしろにした男に対する以下のような復讐話がはっきりと記録されているのです。
アナトは神の息子モトを捕らえ、鎌で切り裂き、もみ殻を選別する農具で吹き飛ばし、火で焼き、石臼で挽き、死肉は鳥に食べさせるために野原にばら撒いた。
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神話の女神の中で絶対に怒らせたくない11柱を世界中から集めてみたのまとめ
世界中に散らばる数々の神話の中から、11柱の怒らせるべきではない女神達をピックアップして紹介してきました。
神話の多くはとてもファンタジックで面白い内容の物語となっていますが、その物語では女神達も大いに活躍し、話を盛り上げているのです。