陸上最大の哺乳類と言えばゾウ。
その大きな巨体は、ゾウの中でも最大の種となるアフリカゾウであれば体重は最大で7,000kg、アフリカゾウよりも小さいアジアゾウであっても最大で6,500kgになります。
一方で、世界一小さい象(世界最小の象)はどうでしょうか?
この記事では世界一小さい象について解説します。
世界一小さい象・世界最小の象【ボルネオゾウ】とは?
世界一小さい象または世界最小の象の称号を得ているのは、ギネス世界記録にも認定されているボルネオゾウ(ボルネオピグミーゾウ)。
このボルネオゾウは、名前の通り東南アジアの島でありインドネシア、マレーシア、ブルネイの3ヵ国が領土を持つボルネオ島(主に北部と北東部)で多くの個体が確認されているアジアゾウの亜種です。
他のアジアゾウ種よりも30%程度小さく、大人のオスは身長1.7〜2.6m、メスは1.5〜2.2m。平均推定体重は2,500kgほどで、最大でも4,000kg程にしかなりません(アジアゾウの他の亜種は大きいものでは6,500kg程度になる)。
ただし、それでもボルネオ島内では最大の哺乳類となります。
また、体に比べて尾は長くて地面につくこともあり、耳は比較的大きくて牙は比較的まっすぐであるといった特徴も持ちます。
2003年9月に世界自然保護基金(WWF)によるDNA調査の結果、ボルネオゾウが他のアジアゾウとは遺伝的に異なることが突き止められ、アジアゾウの別な亜種であることが確認されました。
およそ30万年前に、アジア本土やスマトラ島に生息するアジアゾウから隔離され、現在の姿に至ったと考えられているのです。
ちなみに、雄の牙は長さ0.5〜1.7m、重さは15kgにもなります。
世界一小さい象は飼育されていた象が起源になっている?
世界最小の象であるボルネオゾウの起源については、かつて「飼育されていたアジアゾウがボルネオ島に持ち込まれたことが始まり」だとする説も存在します。
この説によると、18世紀に当時この地域を支配していたスルタン(王)が飼育していた象が複数、ボルネオ島北部のジャングルに放され、その象達が他のアジアゾウとは異なる集団を作って繁殖し、現在のボルネオゾウが形成されていったというのです。
このことを裏付けるものとしては、ボルネオゾウの性格が挙げられます。
「ボルネオゾウは驚くほどおとなしく、受け身な性格を持ち、これはかつて人間に飼われていた先祖が獲得した性質に由来するのではないか?」と言うのです。
ただし、この説はあくまでもボルネオゾウの起源に関する一つの説に過ぎず、先にも示した通り、現在は2003年のDNAテストの結果などから、
約30万年から独自の地域進化を遂げ始め、1万8000年前の最終氷期極大期の後に、ボルネオ島と他のスンダ諸島およびアジア大陸を結ぶ陸橋が消滅し、他のアジアゾウ集団から孤立した結果、現在のボルネオゾウが形成されていった。
という説が強く唱えられるようになっています。