アメリカ大陸(北アメリカ・南アメリカ)に関しての豆知識を紹介していきます。それぞれの定義に加えて歴史的なことや地理的な特徴など、ちょっとした雑学知識です。
地球の陸地を5つの大陸に分ける「五大陸」という概念に含まれるアメリカ大陸には、世界最大の経済大国アメリカや、ラテンアメリカとして有名なブラジルやアルゼンチンなど、魅力的な国々が多く存在します。
一方で、アメリカ大陸と関連して「北アメリカ」や「南アメリカ」といった地域概念も存在していますが、その使い方によっては意味する対象が微妙に異なってくることもあります。
この記事では、北アメリカと南アメリカも含め、アメリカ大陸に関する定義、歴史、特徴など、知っておきたい豆知識をまとめて簡潔に紹介していこうと思います。
アメリカ大陸に関する雑学知識を増やすためにも確認してみてください。
アメリカ大陸とは?
アメリカ大陸とは、後述する北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をまとめて示す際の呼称。
もともとは異なった大陸であった北アメリカ大陸と南アメリカ大陸が、およそ500万年前の鮮新世に、パナマ地峡(パナマちきょう:南北両アメリカ大陸を結ぶ帯状の地峡)によって結ばれたことで生まれた超大陸です。
アメリカ大陸の歴史や特徴など
南北アメリカ大陸の生態系は随分異なる
もともと北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は異なる大陸(北アメリカ大陸はローラシア大陸から、南アメリカ大陸はゴンドワナ大陸から)から分裂して派生したため、そこに住む生物達はそれぞれ違う進化をしてきました。
そのため、一つの超大陸に属しているものの、二つの大陸間の生態系はかなり様相が異なります。
アメリカの名前はアメリゴ=ヴェスプッチが由来
アメリカ大陸の「アメリカ」という名前は、1497年にこの新大陸に到達した、フィレンツェ出身の探検家「アメリゴ・ヴェスプッチ」が名前の起源です。
※新大陸とは大航海時代にヨーロッパ人た新しく発見した南北アメリカ大陸とオーストラリア大陸。特にアメリカ大陸を指す場合が多い。
※アメリゴ・ヴェスプッチが1947年にアメリカ大陸へ到達したという主張には疑問が残っている。
元々はインディアス大陸としていた
また、アメリカという名前が広く一般に受け入れられるまでは、「インディアス大陸」として呼ばれていました(スペインでは特に)。
しかし、アメリカ大陸という呼称の方が広く普及した結果、今では当たり前にアメリカ大陸と呼ばれるようになったのです。
北アメリカ(北米)とは?
「北アメリカ」と言う場合、その範囲によって意味が微妙に異なってくる点に注意。
広義の意味での北アメリカ
まず広義の意味での北アメリカと言うのは、
後述する北アメリカ大陸に加えて、
- 西インド諸島(カリブ諸島)
- グリーンランドやクイーンエリザベス諸島
- バミューダ諸島
の島々を加えたもの。
また、ベーリング海峡(アジア側)とデンマーク海峡(ヨーロッパ側)に挟まれた範囲が北アメリカの海域であるため、北アメリカにはグリーンランドも含まれます。
ちなみに、この北アメリカを広義の意味で解釈した場合、23の主権国家と25の非主権領域(属領と本土が北アメリカ以外にある領域)があります。
狭義の意味での北アメリカ
一方で、一般的にも耳にする「中米(中央アメリカ)」という地域概念が生じる場合、「北アメリカ」が指す範囲は「アメリカ合衆国・カナダ・メキシコ」の三ヶ国または「アメリカ合衆国とカナダ」に二カ国だけになり、それ以外の北アメリカ南部諸国は全て中米に含まれます。
北アメリカ大陸
北アメリカ大陸とは、あくまでも「大陸」を軸とした地域概念であるため、正確には「北アメリカ」が意味することとは異なってきます。
つまり、元々は別々の2大陸がくっつくことで出来上がった超大陸「アメリカ大陸」のうち、パナマ地峡を界にして北側部分のみを指すってことです。
この場合、以下の主権国家が含まれます。
- アメリカ合衆国
- カナダ
- メキシコ
- グアテマラ
- ベリーズ
- エルサルバドル
- ホンジュラス
- ニカラグア
- コスタリカ
- パナマ
北アメリカの歴史や特徴など
世界で3番目に大きな大陸、しかし人口は世界第4位
北アメリカ大陸は、アジア大陸とアフリカ大陸に次いで、世界で三番目に大きな大陸。
その面積はおよそ2471万㎢であり、地球の総陸地面積のおよそ16.5%に当たるとされます。
一方で、その人口数は世界3位ではなくて4位とされ、現在はおよそ5億8千万人を有しています。
元々は「アメリカ」ではなかった
ヨーロッパ人が新大陸であるアメリカ大陸を発見した後に「アメリカ」という言葉が広まってからも、「アメリカ」という言葉はしばらく、南アメリカ大陸のみを意味する言葉として使われていました。
しかし、時間が経つにつれて語感の良さからか、北アメリカ大陸もアメリカと言われるようになり、現在の「北アメリカ大陸」と「南アメリカ大陸」という概念が生まれたのです。
主な言語はスペイン語・フランス語・英語
北アメリカに属する国家や領域で主に話される言語は、スペイン語、フランス語、そして英語。
これは、北アメリカには多くの元スペイン領や、フランスに属する領域があり、英語に関してはカナダやアメリカ、そしてバハマやベリーズなどで使われているから。
一方で、一部の領域ではオランダ語やデンマーク語(グルーンランドにおいて)の話者が多くいます。
面積最大はカナダで人口最大はアメリカ合衆国
北アメリカの中ではカナダが一番大きな国。
(カナダ)
その面積はおよそ1000万㎢で、次にアメリカ合衆国、グリーンランド、メキシコと続きます。
一方で、北アメリカにおいて最大の人口を誇るのはアメリカ合衆国で、その数はおよそ3億3千万人。
メキシコのおよそ1億3千万人がそれに続きます。
北アメリカの先住民はおよそ15000年以上前に移動してきたアジア人
北アメリカの先住民達は、およそ15000年以上前の氷河期最後の時期に、アジアから移動してきた単一の民族集団と考えられています。
この集団はその後、数千年かけて大陸全土に広がっていきました。
北アメリカ大陸には名前が知られる哺乳類の多くが生息する
世界各地に生息する名がついている有名な哺乳類は5400〜5500種ほどいるとされますが、そのうち北アメリカ大陸に生息するのはおよそ950〜1000。
つまり、北アメリカ大陸が地球の陸地面積のおよそ16.5%を占めているのと同様に、およそ17%前後の哺乳類の種が同大陸に生息していると言われます。
ちなみに、北アメリカ大陸で発見された有名な哺乳類には、コヨーテ、フクロネズミ、ビーバーなどが含まれます。
いくつかの地理的な豆知識
世界最大と言われる2つの地殻プレートが北アメリカ大陸には存在し、カリフォルニアとアラスカでぶつかり合っているため、この地域では頻繁に大きな地震が起こります。
また、デナリ(マッキンリー山)は北アメリカ大陸の最高峰であり、その標高は6,190.4メートル。
一方で、カリフォルニア州にあるデスヴァレーは、北アメリカ大陸で最も海抜が低い場所に位置しており、1913年7月10日には世界最高気温として知られる56.7度を記録しています。
そして、.北アメリカ大陸は全ての気候型を有する唯一の大陸。
中央アメリカはサバナ気候と熱帯雨林気候、カナダ北部とアラスカはツンドラ気候、グリーンランドは永久凍土。また半乾気候や砂漠環境もあります。
南アメリカ(南米)とは?
南アメリカとは、後述する南アメリカ大陸に位置する国家に加えて、周辺にある島や海域を総称した地域の概念。
北アメリカとは違い、特に「広義」または「狭義」の意味はなく、「南アメリカ」と言えば同じ領域を指すことがほとんど。
また、「南アメリカ」という場合、そこには12と他にも3つの非主権領域が存在し、通称「ラテンアメリカ」としても知られる地域です。
南アメリカ大陸とは?
一方で、「南アメリカ大陸」と言う場合は、アメリカ大陸の中でもパナ地峡を界にした南側部分を指します。
西は太平洋に接し、東と北は太平洋に面している大陸で、以下の国を有しています。
- ボリビア
- ブラジル
- チリ
- コロンビア
- エクアドル
- ガイアナ
- パラグアイ
- ペルー
- スリナム
- ウルグアイ
- ベネズエラ
南アメリカの歴史や特徴など
南アメリカ大陸は北アメリカ大陸より小さく人口規模も小さい
北アメリカ大陸は、その面積がおよそ2471万㎢で、地球の陸地面積のおよそ16.5%を占めていますが、比較すると南アメリカ大陸の面積は小さく、およそ1778万㎢で地球の陸地面積の約12%。
また、その人口規模もおよそ4億3千万人と、北アメリカの5億8千万人には匹敵しません。
他のラテンアメリカ諸国とは異なる国や地域を忘れずに
南アメリカの大部分はスペインとポルトガルの植民地支配から解放されましたが、3つの小さな領域は以前としてヨーロッパの国に統治されていたり、また、2つの国はスペイン語でもポルトガル語圏でもない点を忘れずに。
まず、南アメリカ大陸の北海岸に位置するギニアは未だにフランス領であり、また、フォークランド諸島とサウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島(※この諸島には定住者はいない)は未だにイギリスの領土として残っています。
一方で、南アメリカ大陸の北部に位置するガイアナとスリナムは、南アメリカ大陸に位置する国家でありながらも、それぞれ英語とオランダ語を公用語としている国です。
固有の自然や生き物が豊富
南アメリカ大陸はもともと南極大陸と繋がっており、それがおよそ3000万年前に分離してからは長らく他から隔離された大陸であったため、生物は独自の進化を遂げて固有種が多いのが特徴。
数百〜千もの異なる動物種、約4万の植物種、250万もの異なる昆虫種がいると言われます。
また、アマゾンに代表される熱帯雨林がありますが、この熱帯雨林も生物の多様化に大きく貢献したと考えられます。
例えば、ガイアナにあるイボクラマ・フォレストは、オオアリクイの数少ない生息地の一つとして、世界的に見ても貴重な地域です。
南アメリカ大陸にある国同士の貧富の差が目立つ
南アメリカの国々は、同じラテンアメリカとして一緒くたにされがちですが、実はそれぞれの国を比較すると貧富の差がかなり目立ちます。
例えば、チリの一人当たりのGDP(PPP)はおよそ24000ドルとされるのに対して、ボリビアはおよそ7200ドル。
2018年に強烈なハイパーインフレを経験したベネズエラは、一人当たりのGDPは1000ドルにさえ満たない可能性も考えられます。
世界的な大都市が5つある
南アメリカ大陸には、世界を代表する5つの大都市があります。
その大都市とは以下の通りです。
- サンパウロ(ブラジル)
- 人口:約1300万人
- リマ(ペルー)
- 人口:約800万人(近郊も入れれば1000万人)
- ボゴタ(コロンビア)
- 人口:約810万人
- リオ(ブラジル)
- 人口:約630万人
- サンティアゴ(チリ)
- 人口:約520万人
キリスト教は重要
宗教は南アメリカの文化において、とても重要な位置を占めており、日頃の生活にも定着しています。
大陸全体で約90%の人々が自身をキリスト教徒であると認識しており、また、82%の人がローマカトリック教徒です。
結果、全世界のカトリック教徒およそ13億人のうち25〜30%を、ラテンアメリカの人々が占めていると考えられます。
いくつかの地理的な豆知識
世界で最も乾燥した砂漠としても知られるアタカマ砂漠はチリに位置し、砂漠の中央部分では、最大4年間も雨が降らないことがあると言われます。
そして、ボリビアの首都ラパスは、旅行者を悩ませる都市としても有名。
というのも、ラパスの中心部の標高は3600メートルを越え、ラパスへ直行する旅行者の多くは到着してから少しすると、激しい高山病に襲われるから。
また、ペルーとボリビアの国境にまたがるチチカカ湖は、商業的に航行可能な湖としては世界で最も高い所(標高3810メートル)にあることで有名です。
加えて、大陸の西海岸に位置するアンデス山脈は世界最長の山脈であり、その全長は北から南へおよそ7500kmにもなります。
さらに、ブラジルとパラグアイの国境を流れるパラナ川に作られたイタイプダムについても知っておきましょう。
このダムは、世界第2位の大きさを誇る水力発電用のダムで、パラグアイで消費される電力の3/4と、ブラジルで消費される電力の17%のを供給しており、この地域にとっては重要なライフラインです。
南アメリカ各国を独立へと導いたシモン・ボリバル
シモン・ボリバルはベネズエラの名家に生まれた男性で、南アメリカ大陸の解放に大きく貢献した人物。
コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、ボリビア(そして中央アメリカのパナマも)の南米五カ国を、植民地支配から独立へと導いた功績があり、南アメリカ大陸史上最も有名な軍事外交官の一人です。
その功績から、南アメリカ諸国では「解放者」として呼ばれることもあります。
合わせて読みたい世界雑学記事
- 世界の不思議な場所16選!謎が取り巻くミステリーな場所を見ていこう!
- カレーの歴史と発祥地や起源|見えてくる世界政治と世界史の裏側
- クリストファー・コロンブスとは?アメリカ大陸を発見した大航海時代の探検家
- 東南アジアの国一覧|地図・人口規模・各国の解説付き
- 南米・南アメリカの国一覧|首都の名前や簡単な特徴など
アメリカ大陸(北アメリカ・南アメリカ)の歴史や特徴に関する豆知識のまとめ
アメリカ大陸に関して、その定義や歴史、地理的特徴など、ちょっとした豆知識を紹介してきました。
世界に関する雑学知識として参考にしてください。