ロシア原産の犬11種類と他の旧ソ連地域を原産とする犬3種

ロシアを原産とする犬を11種類と、ロシア以外の旧ソ連圏を原産とする犬を3種類紹介していきます。独特な環境や目的に適応するために誕生した犬たちを見ていきましょう。

世界一広大な面積を持つロシアは、国土の中に11の異なる時間帯を持つわけですが、これと同じように東から西、南から北まで、様々な種類の生き物が生息しています。

そして、生物の多様性に関しては「犬」についても同様のことが言えます。

ロシアには、その過酷な環境で生き延びるために独自の進化を遂げてきた犬種から、特定の目的のために人為的な交配によって生み出された犬種まで、ロシアを原産とする様々な犬が存在するのです。

この記事では、そんなロシアが原産となる犬の中から11種類の犬と、ロシア以外の旧ソ連圏を原産とするものの、ロシアの犬として名前が挙がることがある3種類の犬を紹介していきます。

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ロシアを原産とする11種類の犬

ロシア原産の犬1:コーカシアン・シェパード・ドッグ

コーカシアン・シェパード・ドッグ、またはコーカシアン・オフチャルカは、ロシアに属する北コーカサス地方原産の大型犬で、羊などの家畜や飼い主を守る番犬として生み出されました。

オオカミやチベタンマスティフなど、戦いに優れた犬種が掛け合わされている交配種で、いざ危機が迫ると勇敢に戦い、攻撃的な性格を見せるのことで知られています。

ちなみに、現在は他の犬との交配種が多くなった結果、地域によってその外見に微妙な違いが出てきています。

ロシア原産の犬2:モスクワン・ガーディアン・マスティフ

モスクワン・ガーディアン・マスティフは、上で紹介したコーカシアン・シェパード・ドッグとセント・バーナードを掛け合わせたことで生まれた子供に、大型犬のグレートデーンを掛け合わせたことで誕生したロシア原産の犬。

冷戦期のソ連時代のロシアにおいて、「力強いけど俊敏な、警備用として優れた犬種」を作り出す目的で、1950年代から交配が勧められていきました。

一方で、扱いが難しいことから軍用犬として採用されることはなく、一時は絶滅の危機に瀕しましたが、現在ではその希少性と、上手く扱えば優れた警備犬になることもあり、ロシア国内では一部にファンを抱えています。

ロシア原産の犬3:ブラック・ロシアン・テリア

ブラック・ロシアン・テリアは1940年代、ソ連時代のロシアによって作り出された犬種。

その目的が、優秀で強靭な軍用犬種を作り出すことにあったことから分かるように、主に軍用犬や警察犬として用いられ、ジャイアント・シュナウザーやロットワイラーなど、他の国や地域から輸入した犬種をかけ合わせたことで誕生しました。

一方で、その可愛らしい外見も相まって、近年ではペットとしての人気も高まりつつあるロシア原産の犬です。

ロシア原産の犬4:サモエド

サモエドは、シベリアのサモエード族が昔から飼ってきた、トナカイの世話役や荷車用として活躍した犬。

また、3000年以上もの長い間を通して飼育・調教されてきたことが最近の研究で明らかになっており、原始犬に近い犬種だとされます。

そのモフモフの体毛と厚い皮下脂肪は保温に優れ、極寒のシベリアで生き延びるには優れた武器となっています。

そして、かわいい外見に加えて純白の体毛によって、現在は世界的にも名前が知られ、ペットとして飼われることが多くなっています。

ロシア原産の犬5:ライカ

ロシア北部またはシベリアなどの極寒地域に生息するライカは、ロシア発祥の狩猟犬。

獲物のいる場所に向かって吠えて教える狩猟法で知られ、現地では伝統的に飼われてきました。

ただし、「ライカ」というのは、ロシア北部およびその周辺地域で昔から飼われている狩猟犬全般に用いられる名前であるため、実際には一つの犬種というわけではなく、異なる系統のものが複数含まれています。

ロシア原産の犬6:シベリアン・ハスキー

シベリアン・ハスキーは、その名前が示す通りシベリアを原産地とする犬の一種で、世界的にも非常に有名。

他の犬よりもオオカミに近い野生的な外見を持つ一方で、人間との相性も良いため、世界中で人気を博しています。

現在でもシベリアの極寒で暮らす先住民などには、犬ぞり用として利用されることから分かる通り、極寒の気候の中でも人間の手伝いが出来るように飼いならされていきました。

特に、交通手段に制限のある極寒の地では、シベリアンハスキーは大いに人々の生活に貢献してきたと言えるでしょう。

ちなみに、さまざまな犬種のDNA解析によって、現存する犬種では最も古い種類に属することが判明しています。

ロシア原産の犬7:スリモヴ・ドッグ

イヌ科イヌ属に含まれるものの、外見がどことなくキツネに似ているジャッカルと、極寒のロシアに適応したシベリアンハスキーを交配して生まれたのがスリモヴ・ドッグと呼ばれるロシア原産の犬。

1975年から交配が始まったため、犬種としては比較的若く、世界的にはあまり知られていません。

ちなみに、ロシアの空港で活躍する探知犬を作り出す目的で生み出されたこともあり、非常に鼻が利く特徴を持っています。

ロシア原産の犬8:ボロンカ・ツヴェトナ

ロシア革命によってロシア帝国が崩壊し、その後にソ連が誕生すると、帝政時代のロシアでは貴族のペットとして流行していた犬が改良され、ボロンカ・ツヴェトナという種類の犬が誕生しました。

18世紀または19世紀に帝政ロシアに連れてこられたフランス犬のビション・フリーゼが元になっていて、そこに他の小型のペット犬種を掛け合わせることで作り出されたのです。

現在では一部の上流階級の人だけでなく、ロシアでは一般人の間でも大人気となっている、ロシア原産のアイドル犬です。

ロシア原産の犬9:ロシアン・トイ・テリア

19世紀辺りにイギリスから連れてこられたイングリッシュ・トイ・テリアに他の小型犬が掛け合わされて作られたのが、ロシアの首都モスクワ原産のペット犬であるロシアン・トイ・テリア。

モスクワ出身であることから、モスコビアン・ミニチュア・テリアとも呼ばれます。

1990年代までロシア国外で知られることはなく、ソ連が崩壊してロシアの政治的孤立が解消するまでは国内でしか飼育されていなかったこともあり、一時は絶滅の危機に瀕していました。

しかし、現在は海外にも輸出され、ロシアだけでなく海外でも飼育されるようになった結果、知名度が上がり種として途絶えることなく数が増えています。

ロシア原産の犬10:ボルゾイ

主に狩猟犬として用いられるハウンド系の犬でロシアを原産とするのが、別名ロシアン・ウルフハウンドと呼ばれる「ボルゾイ」。

時速50kmにも達する走行速度によって、かつてはオオカミ狩りに用いられていたことがあり、その歴史は9〜10世紀にまで遡ります。

ちなみに、ボルゾイはロシア語で「俊敏」という意味で、この名前で正式に呼ばれるようになったのは1936年からです。

ロシア原産の犬11:ロシアン・スパニエル

ロシアン・スパニエルは鳥猟犬として知られる様々なスパニエル犬が交配された結果誕生し、1951年に規格統一された犬種。

元々は狩猟犬として開発されたものの、体はそこまで大きくない上に脚が短いために、厳しい風土のロシアでは狩猟にあまり適さないことが判明し、どちらかというとペットとして飼育されることの方が多くなりました。

他の国ではほとんど見かけることはありませんが、現在でもロシアではペットとして飼われています。

ロシア以外の旧ソ連地域が原産となる犬種

ロシアが原産となる11の犬種を見てきましたが、ここからはロシア以外の旧ソ連圏が原産であるものの、ロシアの犬と言われることがある3種類の犬を紹介していきます。

① イースト・ヨーロピアン・シェパード

旧ソ連圏の国では比較的名前が知られており、特に警察犬や軍用犬として優れた能力を発揮するのがイースト・ヨーロピアン・シェパードと呼ばれる犬種。

ドイツから輸入されたジャーマン・シェパードに起源を遡りますが、旧ソ連の中でもベラルーシを原産とし、ベラルーシの環境に合わせるために改良されて誕生しました。

過去にはソ連の諜報機関であるKGBにも正式採用されるほどの能力を持っており、現在でも警察や軍に重宝されています。

一方で、旧ソ連圏では最近、ペットとしての人気も高まっています。

② サウス・ロシアン・シェパード・ドッグ

旧ソ連の中でもウクライナを原産とするサウス・ロシアン・シェパードドッグは、羊を始めとした家畜を守るために、18世紀末頃に生み出された犬。

外見的にはモフモフな感じの長い毛が特徴的で可愛らしいものの、非常に力が強い大型犬である上に、性格的には可愛げが少ないと言われ、また、攻撃的な一面も持ちます。

そのため、飼うには専門家の厳しい訓練が必要で、ペットには向いていない犬種です。

③ セントラル・エイジアン・シェパード・ドッグ

セントラル・エイジアン・シェパード・ドッグは、ソ連時代にソビエト連邦を構成していたタジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタンの中央アジア地域が原産。

非常に頑強な体と強力な力、さらにはとても高い警戒心によって、元々は家畜や家を守る番犬として飼われ、また伝統的な闘犬に用いられることもありました。

ただし、現在は一部でペットとしても飼われています。

ちなみに、セントラル・エイジアン・シェパード・ドッグはとても古い古代犬種と言われ、その起源はなんと6000年前に遡ると言います。

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ロシア原産の犬11種類と他の旧ソ連地域を原産とする犬3種のまとめ

ロシアを原産にする犬から、他の旧ソ連圏を原産にする犬までを紹介してきました。

ロシアに関する雑学、または犬に関する雑学として参考にしてください。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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