ドラゴンの種類と名前の一覧を紹介していきます。ドラゴンに関する基礎知識から、様々な伝説や神話における各ドラゴンの描写までを見ていきましょう。
伝説の生き物の代表格と言えばドラゴン。
日本はもとより世界中の様々な国や文化の中でドラゴンまたはドラゴンに似た生き物にまつわる話が残っており、大衆文化の中にもドラゴンに関する話が多く取り入れられてきました。
そんなドラゴンには、どんな種類や名前のものが存在するのでしょうか?
この記事では、主にドラゴンの種類や名前の一覧を、各伝説や神話における描写を含めて紹介していこうと思います。
ただし、様々なドラゴンについて理解していくためにも大切な、ドラゴンに関する基礎知識を確認することから始めていきましょう。
- ドラゴンに関する基礎知識
- ドラゴンの種類と名前一覧!
- ドラゴンの種類と名前1:ドレイク(一般的なドラゴン)
- ドラゴンの種類と名前2:ドラゴネット
- ドラゴンの種類と名前3:テューポーン
- ドラゴンの種類と名前4:ヒュドラ(ヒュドラー)
- ドラゴンの種類と名前5:バハムート
- ドラゴンの種類と名前6:ワイバーン
- ドラゴンの種類と名前7:中国の竜(龍)
- ドラゴンの種類と名前8:アンピプテラ
- ドラゴンの種類と名前9:リンドヴルム
- ドラゴンの種類と名前10:ワーム
- ドラゴンの種類と名前11:コカトリス
- ドラゴンの種類と名前12:ヤマタノオロチ
- ドラゴンの種類と名前13:ズメイ・ゴルイニチ
- ドラゴンの種類と名前14:アフリカンドラゴン
- ドラゴンの種類と名前15:クル
- ドラゴンの種類と名前16:ラードーン
- ドラゴンの種類と名前17:アイダ・ウェド
- ドラゴンの種類と名前18:ヴァヴェルの竜
- ドラゴンの種類と名前19:ククルカン(ケツァルコアトル)
- ドラゴンの種類と名前20:ヨルムンガンド
- 合わせて読みたい世界雑学記事
- ドラゴン|種類と名前の一覧から各伝説や神話における描写を確認!のまとめ
ドラゴンに関する基礎知識
ドラゴンは大きな体を持ったヘビのような姿で描かれ、世界中で多くの民間伝承に登場してきた伝説上の生物。
地球上にある多くの文化の中で、ドラゴンのような伝説の生き物の存在が描かれてきました。
地域によってそのイメージは異なるものの、一般的な傾向としては、
- 西洋文化においては
- (中世盛期より)翼と角のある四つ足の生物であり、火を噴く能力を持つ
- 東洋文化においては
- 翼を持たない四つ足のヘビのような生物を指し、高い知能を兼ね備えている
と考えられてきました。
ちなみに、翻訳上でドラゴンの英語表記の「Dragon」は、「龍(竜)」を意味するため、一般的にはドラゴンと龍は同じ分類の伝説上の生き物としてひとまとまりにされることが多いですが、西洋のドラゴンと中国を中心とした東アジアの龍は異なる存在であるという意見もあります。
ドラゴンが持つ姿の変化
初期のドラゴン
ドラゴンに関する最も初期の描写は、巨大なヘビの様なものでした。
そして、この巨大なヘビの様なドラゴンに似た生き物は、古くは古代メソポタミアの神話や文学、そして美術品にも描かれています。
また、嵐の神が巨大なヘビを倒す話が、インド・ヨーロッパ語族および中近東の神話の多くに登場します。
例えば、
- 古代メソポタミアのムシュフシュ
- エジプト神話のアペプ
- リグ・ヴェーダに登場するヴリトラ
- 旧約聖書のリヴァイアサン(レビヤタン)
- ギリシャ神話に登場するピュートーン、ラードーン、ワイバーン、ヒュドラー
- 北欧神話のヨルムンガンド、ニーズヘッグ、ファフニール
- ベーオウルフに描かれているドラゴンなど
を挙げることが出来るでしょう。
欧米で一般的なドラゴンの描写の始まり
欧米で一般的な「翼を持って火を噴く四つ足のドラゴン」の描写は、中世盛期(11〜13世紀頃)に様々な伝統における初期のドラゴンのイメージが融合した結果として誕生し、その後に普及していったと考えられます。
そして、西洋文化で描かれるドラゴンは、微妙な違いはあるものの、多くの文化の中で基本的に、聖者や勇者によって退治されるべき怪物として描かれています。
中国を中心とした東アジアで描かれるドラゴンの傾向
一方で、中国を中心とした東アジアにおけるドラゴン(龍)は、幸福と関わりを持ち、雨をもたらす生物、つまり豊穣にまつわる伝説上の生き物として描かれることがあります。
例えば、中国の伝統的な慣習であり「龍が玉を追いかける様子」を模している龍舞は、もともと「雨乞い」のために踊られ始めたと言われ、現在では収穫祭などを祝って実施されることからも、龍に対する考えを垣間見ることが可能。
また、中国において龍は中国皇帝の象徴でもあり、その歴史において、皇帝以外の家屋、衣服、その他個人の所有物にドラゴンが描かれることは禁止されていた時代もあったり、他にも東アジアでは神々がドラゴンを連れている様が描かれることもありました。
もちろん、日本におけるヤマタノオロチの様に退治されるべき怪物として描かれることもあったものの、東アジアにおいてドラゴン(龍)は、神聖な存在として描かれることの方が多いのです。
語源から見る元々のドラゴン
ちなみに、ドラゴン(dragon)の言葉が英語世界で使われるようになったのは、13世紀初期のことだったと言われます。
ラテン語で「大きなヘビまたはドラゴン」を意味する”draconem”、古代ギリシャ語で「大きなヘビ、大きな海水魚」を指す”drákōn”が語源となっている古フランス語の単語が由来とされます。
そしてここから見えてくるのが、ラテン語の”draconem”も古代ギリシャ語の”drákōn”も、
- 「大きなヘビ」
という意味を含んでいたという共通点。
そのため、伝説の生き物とされるドラゴンのイメージは、ヘビからインスピレーションを受けて発生し、そこへ徐々に別の特徴などが追加されて形成されてきたのだと考えられるのです。
ドラゴンの種類と名前一覧!
ドラゴンにまつわる伝説は世界中で確認出来るため、ドラゴンと思われる存在を全て集めれば、その数は数百種類にまでなるかもしれず、また、その全てを網羅することはほぼ不可能です。
そこでここからは、ドラゴンの中でも知っておきたい20種類の名前や特徴などを紹介していこうと思います。
ドラゴンの種類と名前1:ドレイク(一般的なドラゴン)
ドレイクとは中世の英語でドラゴンを意味する言葉。
そのため、一般的にドラゴンとイメージされる「翼を持って火を噴く四つ足のドラゴン」を総称した種類名として名前が挙がることがあります。
ドラゴンの種類と名前2:ドラゴネット
ドレイクまたは一般的な西洋のドラゴンと同じ外見を持っているものの、大きさがはるかに小さいドラゴン。
指の大きさから、人間ほどの大きさまで様々です。
しかし、大きさに関わらず、群れを作って狩りをする上に、肌に触ると死に至る猛毒の血を持つなどとして描かれる危険なドラゴン。
また、サイズの小さな種類のドラゴンとしてではなく、子供のドラゴンとして描かれることもあります。
ドラゴンの種類と名前3:テューポーン
ギリシャ神話に登場する怪物で、全知全能で最高神であるゼウスさえも恐れる強大な力を持っていたとされる怪物です。
人間と同じような体を持つものの、腿から下は巨大な蛇の姿で描かれ、また、真っ赤な目と鳥の翼を持ち、高熱の炎を吐くとされます。
ドラゴンの種類と名前4:ヒュドラ(ヒュドラー)
ギリシャ神話の中で、複数の頭を持つ水蛇の怪物として描かれる種類のドラゴン。
頭を切り落とされてもすぐに生えてくるのが最大の特徴で、尻尾、翼、腕が複数ある姿で描かれることもあります。
ドラゴンの種類と名前5:バハムート
(出典:wikipedia)
本来は中世イスラム世界で信じられていた海の化け物。
巨大な魚やクジラのような姿で描かれ、海深くに棲みつき、地球の構造を下から支えていると描写されていました。
一方で、バハムートが大衆文化の中で取り入れられ始めた結果、その姿はドラゴンの様に描かれ始め、現在は様々なゲームに基本的には黒いドラゴンの姿で登場しています。
ドラゴンの種類と名前6:ワイバーン
非常に攻撃性の高いドラゴンであり、ワニのようにエラが張った頭を持ち、コウモリの翼と大蛇のような長い尻尾を持っている姿で描かれます。
そして、脚はトカゲか鳥の様で、イギリスにおいては様々な紋章に描かれているのが確認出来ます。
ドラゴンの種類と名前7:中国の竜(龍)
幸福と関わりを持ち、また雨をもたらし、普段は水中や地中に棲むけど必要とあれば竜巻となって天空へ上っていくと描写される中国の竜は、神獣とされる聖なる存在。
ヘビのような体に短い手足があり、口には髭を蓄え、頭には角を生やし、顎下には宝珠を持っているとされます。
日本も含めたアジア地域では、この中国の竜の姿を基本として、様々な種類の竜が誕生していきました。
ドラゴンの種類と名前8:アンピプテラ
(出典:wikipedia)
蛇と鳥が合わさったハイブリッド型のドラゴン。頭から尻尾までは蛇で、コウモリのような翼が首元から生えています。
前脚を持つものもいますが、後脚はありません。
主にイギリスで紋章に描かれるドラゴンです。
ドラゴンの種類と名前9:リンドヴルム
(出典:wikipedia)
馬の頭とたてがみに加えて、ヘビの胴体を持つ巨大な怪物として描かれる種類のドラゴン。
頭は大きく、赤々と燃える石炭のような目を持ち、人間を簡単に飲み込めるだけの大きな口を持ちます。
ドイツやスカンジナヴィアの国々に主に伝わる伝説上の生き物です。
ドラゴンの種類と名前10:ワーム
(出典:youtube)
ドラゴンの頭を持ち、丘にとぐろを巻くことが出来るほどの大蛇として描かれるドラゴンの一種。
猛毒を吐き、素早く動くことが出来、ツノ、大きな牙、ギラギラと光る大きな目が特徴です。
一方で、鳥の羽を持った姿で描かれることもあります。
ドラゴンの種類と名前11:コカトリス
体が赤または緑っぽい色で、薄い色のお腹を持つ種類のドラゴン。
伝説では「雄鶏の産んだ卵」から生まれると言われ、生き物を殺すことのできる有毒な息を持ち、動いているものならなんでも食べる特性があります。
また、雄鶏の産んだ卵から誕生したことから、首から上と脚は雄鶏で、胴体と翼はドラゴン、そして尻尾はヘビという体と、革のような質感の鱗が生えた翼を持ちます。
ドラゴンの種類と名前12:ヤマタノオロチ
(出典:wikipedia)
日本の伝説上の生き物。
頭と尻尾が8つあり、乙女を食べる邪悪な生き物として描かれ、酒を飲んで酔ったところをスサノオミコトによって退治される伝説は有名です。
ドラゴンの種類と名前13:ズメイ・ゴルイニチ
スラブ人の神話の中に現れる伝説上のドラゴン。
頭が3つ以上、尻尾が7つ以上ある姿で描かれ、戦士ドブルイニャ・ニキティッチが三日三晩戦ってようやく退治した化け物です。
ただし、クロアチアやセルビアの南スラブ人に伝わるドラゴンのズメイは、守護神的な聖なる竜として描かれます。
ドラゴンの種類と名前14:アフリカンドラゴン
その姿から、ドラゴンではないとする主張もありますが、これこそまさしく「初期のドラゴン」と言って良いかもしれません。
脚や腕がないため、大蛇に似た姿で描かれているのが特徴的です。
ドラゴンの種類と名前15:クル
古代メソポタミアに生きたシュメール人による神話の中に登場する怪物。
地面と海の空虚な狭間に棲息しているとされ、地下に暮らし、邪悪な性質を持っているため、冥界と関連づけられることの多い存在です。
ただし、このクルに関してはドラゴンの姿をしているという主張がある一方、そうでないとする主張もあります。
ドラゴンの種類と名前16:ラードーン
(出典:wikipedia)
ラードーンはギリシャ神話における伝説上のドラゴン。
黄金の林檎を守るために木の周りにとぐろを巻いていました。
しかし、ヒュドラーのコブに浸した毒矢を用いたヘラクレスによって退治されたと言われます。
ドラゴンの種類と名前17:アイダ・ウェド
このドラゴンは天を支える七色の蛇。想像と雨を降らせる力を持ち、別名「虹蛇」とも呼ばれます。
そして、このドラゴンは2つの個性を持ち、伝説によると、虹がかかった時に出る赤色がアイダ・ウェドの男性部分を、青色がアイダ・ウェドの女性部分を表しています。
さらに、アイダ・ウェドの糞は土壌や山に栄養を与える恵だとされます。
ドラゴンの種類と名前18:ヴァヴェルの竜
ポーランドの民話に出てくるヨーロッパにおいては有名なドラゴンの一種で、このドラゴンを倒した人物「クラクス」にちなんで、クラクスのドラゴンと呼ばれることもあります。
非常に凶悪で毎日のように町や村を破壊し、さらに人を殺害したり家畜を貪っていたと描写されます。
そこでクラクスがある時、大量の硫黄を詰め込んだ子羊をこのドラゴンの洞窟の上に置いたところ、思惑通りドラゴンはその羊を食べ、想像を超えるほどの喉の渇きに見舞われました。
その結果このドラゴンは水を飲み続け、最後にはお腹が破裂して死亡してしまったのです。
ドラゴンの種類と名前19:ククルカン(ケツァルコアトル)
マヤ神話における創造神であるため、ドラゴンとは少し違う存在かもしれませんが、その「羽根つきの蛇」の姿はまさにドラゴンと言っても差し支えないでしょう。
雨、風、火を司り、血なまぐさい生贄を好まない平和を愛する伝説上の存在でした。
ちなみに、アステカ文明においてはケツァルコアトルとして知られていました。
ドラゴンの種類と名前20:ヨルムンガンド
北欧神話に登場する神のロキと、女巨人のアングルボサの間に産まれた巨大な毒蛇の怪物。
圧倒的な巨体を持ち、地球を一周して自らの尻尾を握ることが出来るほどで、世界蛇と呼ばれることもあります。
ちなみに、北欧神話における世界の週末の日「ラグナロク」は、ヨルムンガンドが握っていた尻尾を離したことで引き起こされたとされます。
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ドラゴン|種類と名前の一覧から各伝説や神話における描写を確認!のまとめ
ドラゴンについて、基本的な知識から種類や名前の一覧までを見てきました。
日本、中国、ペルシャ、ヨーロッパ、どこの国の話にもドラゴンの話は出てきます。
そのためドラゴンとは、ある意味で人類に共通する伝説上の生き物であるとさえ言える存在なのかもしれません。