ロシアの文化と習慣に関する13のポイントを見てきましょう。ロシアへ長期滞在したり生活するなら知っておきたい、宗教、食文化、パーティー事情などを紹介していきます。
東はアジアから西はヨーロッパまで広がる広大な国土を有する大国ロシアは、近現代の歴史の中で強力な存在感を示してきました。
また、その強大な存在感に加えて、日本とは日露戦争で戦ったり、冷戦時代には共産圏の盟主として他の共産主義国家を主導していたため、日本にとってはなんとなく恐ろしく映り、名前とかけて「おそロシア」などと言われます。
しかし、そのイメージに反して、ロシアには非常に人間味のある豊かな文化が存在し、また、仲良くなるとロシア人ほど友情に熱い人たちはいないとまで言えるぐらいだったりするんです。
この記事では、そんなロシアを理解するために知っておきたい、ロシアの文化や習慣に関する13のポイントを紹介していきたいと思います。
- ロシアの文化と習慣1:多民族国家
- ロシアの文化と習慣2:言語状況
- ロシアの文化と習慣3:宗教
- ロシアの文化と習慣4:ロシアの食文化
- ロシアの文化と習慣5:我が祖国ロシア!
- ロシアの文化と習慣6:家族や友人間の絆がとても強い!
- ロシアの文化と習慣7:ロシア人女性は結構伝統的?
- ロシアの文化と習慣8:年の差カップルを普通に見かける!
- ロシアの文化と習慣9:招待されたら何か持参して!
- ロシアの文化と習慣10:迷信深い人が多い
- ロシアの文化と習慣11:ロシアにおいて大切な戦勝記念日
- ロシアの文化と習慣12:「変化」が起こるロシア語の名前
- ロシアの文化と習慣13:芸術・文学・建築
- 合わせて読みたい世界雑学記事
- ロシアの文化と習慣|生活に大切な宗教・食文化・パーティー事情などのまとめ
ロシアの文化と習慣1:多民族国家
ロシアは1710万㎢にも及ぶ世界最大の国土を有しながらも、その人口は面積の割に比較的少なく、1億4500万弱の人々が暮らす国。
そんなロシアは、実は190前後の民族が暮らしている多民族国家なんです。
およそ人口の80%と大多数を占めるスラブ系民族(特に東スラブ系)を筆頭に、他にもトルコや中央アジア諸国に広がるテュルク系民族のタタール人、そして、アルメニア人、グルジア人、ブリヤート人、さらには、ロシアの先住民族であるネネツ人やユピク人など、とにかく非常に多くの民族が存在します。
例えば、地域によってはモンゴロイドが多い共和国などもあり、ブリヤート共和国やカルムイク共和国には、日本人と見間違うような外見を持ったロシア人たちが多く住んでいたりするんです!
ロシアの文化と習慣2:言語状況
ロシアの公用語と言えばご存知のようにロシア語。
ただし、ロシアはいくつもの共和国から構成された連邦制の国家であり、連邦公用語であるロシア語とは別に、各共和国は自らの公用語を定めることが可能であったり。
実際、ロシアの各共和国が定める公用語としては26言語があり、例えば、共和国の一つ「タタールスタン共和国」では、ロシア語と共にタタール語が公用語として定められています。
また、190前後の民族が存在するロシアでは、100以上の少数言語が使われているとされています。
ロシア全体の人口からすると少数言語を使う少数民族の人口規模は小さいですが、少数言語は彼らの住む地域において、また、貴重な少数民族の文化を保全するためにとても重要です。
ロシアの文化と習慣3:宗教
ロシアには大小含め5000近くの宗教団体があるとされますが、ロシア人口の半数近くはキリスト教徒。
中でも、ロシア正教はロシアにおいて最大の信徒数を抱えます。
一方で、ロシアを構成する共和国の中にはイスラム教国家や仏教国家も存在するため、この二つの宗教を信じる人口規模も比較的大きかったり。
他にも、アジア北方の遊牧民族に共通な「天上世界」もしくは「天上神」を崇拝するテングリ教(テングリ崇拝)など、少数民族の信仰が複数存在しています。
ちなみに、ロシアにおける上位3つの宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)の、人口に占める信徒の割合は以下の通りです。
- キリスト教:47.4%
- ロシア正教:41.1%
- その他の正教会:1.8%
- その他のキリスト教:4.5%
- イスラム教:6.6%
- 仏教:0.5%
(2012年時点:参照:wikipedia)
ただし、かつてロシアにはおよそ100万人のユダヤ人がいたとも言われ、実際に現在でもロシア社会で活躍するユダヤ人が多いことから、仏教人口と同程度またはそれより若干多いユダヤ教徒が、ロシアに住んでいる可能性があります。
宗教的祝日の前に行う「なんちゃって断食」
ロシア文化の中でもちょっと宗教的な側面を持った習慣として、ロシア正教徒の中には(全員が実践するわけではない)、少し変わった「なんちゃって断食」をする人を見つけることが出来たりします。
これは、クリスマスのような大きな祝日の前には「動物の肉を避ける」という習慣。
ただし、植物性の食事はもちろん大丈夫だし、魚屋やエビなどの魚介類も大丈夫だとする場合もあり、完全な断食ではありません。
ロシアで生活したり、ロシア人と仲良くしていたりすると気づく、ちょっとしたロシアの宗教的習慣です。
ロシアのクリスマスは新年が明けてから!
また、ロシアの宗教的文化として覚えておきたいのがクリスマスの日。
日本でクリスマスと言えば12月25日ですが、ロシアでは正教会に従うため、クリスマスの日は新年が明けた後の1月7日。
これは、現在世界中で一般的に使われているグリゴリオ暦ではなく、ロシア正教ではユリウス暦と呼ばれる暦を使うことで生じた差によるものです。
宗教的祝日を尊重する一方で非宗教的な祝日が大好き!
ロシア正教徒が多いロシアでは、イースターなどの宗教的な祝日が非常に大切にされます。
しかし一方で、多くのロシア人は「非宗教的」な祝日が大好き。
具体的には大晦日なんかが良い例で、いつもは信仰に熱い宗教的な人であっても、パーティで飲んで踊って花火を上げてと、盛大にそして賑やかに新年を祝うんです!
ロシアの文化と習慣4:ロシアの食文化
ロシアはまた、美味しい伝統的な料理を多く有することでも有名な国。
中でも、ロシアの食べ物として最も有名な料理の一つと言えば「ボルシチ」でしょう。
ボルシチはビーツを主な具として、好みによってキャベツや肉と一緒に煮込んだスープ。そのままでも美味しいですが、ロシア的習慣に則れば、ロシア料理でよく使われるサワークリームを乗せて食べるのがおすすめ。
また、名前を聞いたことがあるかもしれないピロシキは、じゃがいも、肉、キャベツ、チーズなどが中に詰まった小さなパンで、これも非常に一般的なロシアを代表する料理です。
さらに、ロシアと言えばキャビアも有名。
通常は黒海やカスピ海で獲れたチョウザメの卵から作られ、しばしば黒っぽい硬いパンか、クレープに似たブリヌイに乗せて食べます。
他にも、餃子みたいな形をしたペリメニを数分間茹でてサワークリームと食べるのは最高です。
一方で、ロシアと言えば「ウォッカ」を忘れてはいけません。
大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモなど穀物を原材料とし、蒸留して作るられるアルコール度が非常に高いお酒で、ちょっとした集まりなどがあれば、ウォッカをショットでグビッとやるのがお決まりです。
ロシアにおけるウォッカの飲み方
人によってその飲み方は異なってくるかと思いますが、ロシアにおける基本的なウォッカの飲み方をちょっとだけ紹介。
ウォッカは通常、メインディッシュではなく、スナックやサラダ、他にも簡単な前菜と一緒に飲みます。
例えば、ピクルス、キャビア、ビーツのサラダと一緒に飲むって感じです。
とは言え、実際にはそんなの関係なく小さなショットグラスにウォッカが注がれ、飲み干すように勧められることがほとんどだと思いますが・・・。
(※ロシア文化で飲酒は、人間関係を築くためにも重要視されている傾向にありますが、だからと言って飲みすぎず、用量を守って楽しみましょう!!!)
ロシアの文化と習慣5:我が祖国ロシア!
最初の方でも紹介した通り、ロシアは世界最大の国土を誇る国。
そんな現在のロシアの基盤が形作られたと言っても良いのが、ユーラシアにおいて広大な領土を獲得し、ピョートル大帝によって1721年に樹立された「ロシア帝国」。
ロシア帝国以降、ソ連時代も通して現在まで、ロシアは常に広大な国土を有する大国であり続けてきました。
そのことに加えて、ソ連時代には自らの国を「偉大な大国」とする、ある意味プロパガンダのようなものが存在していたため、ロシア人の中にはロシアを「我が祖国ロシア」や「偉大なる祖国ロシア」など、とても誇らしげに表現する人がいたりします。
ロシアの文化と習慣6:家族や友人間の絆がとても強い!
これはロシアだいけじゃなくて旧ソ連の国の多くに共通して言えることですが、家族や友達との絆がとても強固なのが特徴。
そのため、昔からの友達や、親戚を含めた家族が多い地元にいるロシア人の中には、あえて新しい友人を作ろうとしない人もいるような気がします。
ただし、異文化に興味があるロシア人は、外国人であれば積極的に友達になろうと近寄っていったり、また、昔からの友達がいない外国であれば、積極的に友人を作ろうとするのがロシア人の傾向だと思います。
とにかく、ロシアの文化なのか習慣的なことなのかはよく分かりませんが、ロシア人が「友達」という場合、かなり強い絆で結ばれた人であることがほとんどです!
ロシアの文化と習慣7:ロシア人女性は結構伝統的?
世界的に見ても美女が多いと言われるロシアには、実際に美しい女性達が多くいますが、アメリカなどと違って、ロシア人女性の多くは伝統的な価値観を持っている傾向がある気がします。
例えば、その良い例が結婚に関して。
ロシア人女性の中には20代前半に結婚する人も多く、実際、彼女達の初婚平均年齢は24.9歳(参照:worldatlas)。
これは、日本人女性の平均初婚年齢の29.4歳と比べると、明らかに早いのが分かります。
ちなみに、その理由としては、「出来るだけ若いうちに子供を産んだ方が良い」とする昔ながらの価値観が影響しているからで、そのせいか、一晩の恋に興じるのではなく、長期的な視点で真剣な交際を考えるロシア人女性が比較的多かったりするんです。
一方でロシア人男性の中には、女性をほったらかしにして浮気に走る人が結構多くいます。
ロシアの文化と習慣8:年の差カップルを普通に見かける!
また、ロシア人女性は安定を求める一方、ロシア人男性は若い女性に目がないためか、ロシアでは男女間のカップルの間にかなりの年の差があるなんていうのは普通。
例えば、男性が40歳で女性が25歳なんていった感じで、15歳差程度の年の差カップルを見つけるのはそれほど難しくありません。
もちろん、同い年のカップルだって多いので、あくまでも日本と比べて比較的多いといった感じで捉えておくと良いかと思います。
ロシアの文化と習慣9:招待されたら何か持参して!
将来的にロシアで長期滞在する予定があるなど、生活基盤をロシアへ移す人は特に知っておきたいのが、ロシア人に夕食やパーティーなどへ招待された時のマナー。
ロシア人はイメージとは違い、かなり社交的で、特別な理由もないのに友達を招いてちょっとしたホームパーティーなんかを開くことがあります。
そして、このような集まりに招かれたら、必ず何か持参することがロシアの習慣。
おそらく沢山の食べ物や飲み物が用意されており、それに対して何も持たないで訪問することは失礼だと捉えられてしまうことがあります。
そのため、ワイン、デザート、チーズなどなんでも良いので、招かれたら何か持参していくことを忘れずに。
ロシアの文化と習慣10:迷信深い人が多い
ロシア文化の一つの側面であり、ロシア人を理解する上で抑えておきたい点が、ロシア人の中には以外にも迷信深い人が多いってこと。
例えば、ロシアの伝統的な習慣の一つとして、長期旅行の際は出発の前に「静かに座る」なんてものを挙げられます。
慌ただしい荷造りを終えてから、忘れ物はないか、火や電気の消し忘れや窓の閉め忘れはないかと確認し、そして、数分間静かにソファーに座るんです。
ロシアでは、この習慣を行わないと縁起が悪いと考える人が結構いて、このような迷信(信仰?)が、ロシアの社会規範の一つになっているんじゃないかとさえ思います。
ロシアの文化と習慣11:ロシアにおいて大切な戦勝記念日
ロシアでは大晦日から新年にかけて盛り上がるのは、宗教のところでも触れた通りですが、それ以上に盛り上がる祝日があります。
それは、ナチスドイツに対する勝利を記念した5月9日の戦勝記念日。
この日は盛大な軍事パレードがモスクワで行われ、国中にある他の都市や町でも盛大に祝われるんです。
そして、このパレードを見たロシア人の多くは、輝かしい過去の栄光と偉大なるロシアを思い起こします。
ロシアの文化と習慣12:「変化」が起こるロシア語の名前
ロシア人の名前は、その人の性別によって同じ「姓」あっても変化したり、また、ニックネーム(愛称)としてファーストネームが変化する点がユニーク。
例えば、「ドストエフスキー」という「姓」を例に挙げた場合、
- 男性
- ドストエフスキー
- 女性
- ドストエフスカヤ
となります。
また、ファーストネームに関しては、
- 「アレクサンドル」の場合
- 愛称は「サーシャ」や「シューラ」など
- 「ドミトリー」の場合
- 愛称は「ジーマ」や「ミーチャ」など
- 「エカチェリーナ」の場合
- 愛称は「カーチャ」や「カチューシャ」など
と変化し、慣れるまで結構混乱します。
ロシアの文化と習慣13:芸術・文学・建築
ロシアはまた、その長い歴史の中で非常に多くの文化的作品や芸術的作品を生み出してきました。
例えば、西ヨーロッパで発生したバレエはロシアに伝わった後に大きく発展し、1776年に設立したボリショイバレエ団は、モスクワのボリショイ劇場を拠点とする世界的に有名なクラシックバレエ団。
加えて、19世紀のロシアの作曲家「ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー」の作品である「白鳥の湖」は世界的にも有名なバレエ音楽です。
さらに、ロシアは文学でも有名人を数多く輩出しており、中でもレフ・トルストイ(『アンナ・カレーニナ』や『戦争と平和』で有名)とフョードル・ドストエフスキー(『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』で有名)は、文学好きにとっては偉大な人物でしょう。
そして、ロシアには文化的価値の非常に高い建造物が幾つもあり、多くの観光客を楽しませています。
例えば、16世紀に建てられたモスクワの赤の広場に立つロシア正教の大聖堂「聖ワシリイ大聖堂」や、1700年前半に建てられた「エカテリーナ宮殿」などは、ロシアの文化を知るためにも絶対に訪れるべき場所です。
一方で、ロシアのシンボル的人形「マトリョーシカ」は、ロシア文化に興味を持つための入り口として最適。
6体ほどの人形が重なっていて、開けると中から同じ絵の小さな人形が出て来る仕組みを持ち、ロシアのお土産としておすすめです。
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ロシアの文化と習慣|生活に大切な宗教・食文化・パーティー事情などのまとめ
ロシアの文化や習慣に関して知っておきたい13のことを紹介してきました。
良く言われる冷たいイメージと違って、ロシアには非常に人間味ある人々や豊かな文化が存在するので、興味を持ったら本当のロシアを知りに現地へ訪れてみるのがおすすめです!