フィンランドの教育は世界的にも有名ですが、なぜ、フィンランドは教育で成功しているのでしょうか?その特徴から分かる成功の秘訣を探っていきます。
国際的な学力テストにおいて、昔から上位に顔を出す国として、熾烈な受験勉強が行われる日本や韓国などのアジア諸国が上位に来るのは有名ですが、近年では受験勉強などとは一切無関係と言って良いフィンランドが上位に食い込むようになり、世界を驚かせています。
また、Global Competitiveness Report(国際競争力報告)の中でも、学力だけに関する指標を抽出した場合、フィンランドが世界で最も優れた学校システムを持っているといった報告までされています(参照:Business insider)。
この、北ヨーロッパに位置する人口530万人の小国フィンランドの教育や、学校システムが優れている理由とは何なのでしょうか?
フィンランドの教育が持つ11の特徴を確認し、なぜ、フィンランドの教育が優れており、世界的にも学力を伸ばしているのか迫っていきます。
- フィンランドの教育の特徴1)全員への給食の提供
- フィンランドの教育の特徴2)教育費はタダ
- フィンランドの教育の特徴3)フィンランドの学校は公平
- フィンランドの教育の特徴4)教師という職業が尊敬されている
- フィンランドの教育の特徴5)指導法に厳しい基準が無い
- フィンランドの教育の特徴6)最適なタイミングを強調
- フィンランドの教育の特徴7)教育学の研究が重要視されている
- フィンランドの教育の特徴8)やる気を重要視
- フィンランドの教育の特徴9)学校内の特別教育
- フィンランドの教育の特徴10)遊んで学ぶ
- フィンランドの教育の特徴11)宿題は少なくて授業日数は短め
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- フィンランドの教育の特徴から学べること|学校が変われば学力も社会も変わるのまとめ
フィンランドの教育の特徴1)全員への給食の提供
フィンランドは優れた給食を提供する国として知られています。しかも、その給食は、多様で、栄養価が高く、健康的です。
そして、学校給食は無料なため(税金によって支払われている)、給食を食べられない子供は誰1人としていません。
全員が平等かつ十分な食事を確実に摂れる環境を整え、学校での1日を乗り切るのに必要なエネルギーを子供達に与えることは、学生たちのやる気を引き出して学力を高めるためにも重要だと考えられているのです。
フィンランドの教育の特徴2)教育費はタダ
フィンランドの教育には、「教育費」がタダという世界的にも有名な特徴があります。
フィンラドは、「国民の誰もが公平な教育機会を得られるべきである」という理念を持っており、家庭の所得や資産に関係なく同じ水準の教育を受けられるように、義務教育期間(日本でいう小学校一年生から中学3年生まで)はもちろんのこと、高校から大学を卒業するまで全ての授業料が無料です。
さらに、授業料だけでなく、必要な文房具代や給食費、また場合によっては交通費も税金で賄われます。
このように、全ての人が平等に教育を受けられるような環境が整えられており、他国で見られる貧困の悪循環や連鎖(貧しい家庭に生まれるた子供は同じように貧しくなってしまい、なかなか貧困から抜け出せない状況のこと)が生じにくく、フィンランドの発展を支えています。
フィンランドの教育の特徴3)フィンランドの学校は公平
日本の私立学校とは違って、フィンランドには学費の高いいわゆる進学校やエリート学校のようなものはありません。
フィンランドでは、義務教育に対して料金を徴収することは違法とされています。
そのため、理論上、フィンランドのすべての小学校と中学校は公平であり、すべての生徒に同じレベルの教育が提供されるようになっています。
例えばアメリカや日本の場合、優れた生徒と知識が乏しい生徒とで大きな差が出ますが、フィンランドの教育は、大多数の人が良い結果を得られることが重要視されており、フィンランドの教育制度が統計的に優れている理由の一つになっていると考えられます。
また、フィンランドには私立学校やエリート学校がないため、国全体が質の高い公教育を求めることになります。
フィンランドの教育制度は「一部の超優秀な脳力を持った人材」の力を伸ばせないと批判される事もありますが、それでも多くのフィンランド人はエリート教育よりも公平な教育を選んでいるのです。
フィンランドの教育の特徴4)教師という職業が尊敬されている
フィンランドにおいて教師は、高度な教育を受けて尊敬され、独立した教育の専門家と見なされています。
そして、他の国と比べてフィンランドの教育計画はとても自由なため、教師自身が授業のやり方を決めることが出来るのも特徴です。
また、フィンランドでは、教員養成コースの入学試験が難しく競争が激しいため、教師を志願して実際に教師になれる人は、賢く、才能があり、意欲のある人がほとんどになります。
例えば、フィンランドの語学教師は、自分が教える言語についてとても造詣が深く、授業ではその言語で生徒達とやりとりすることが一般的で、生徒はその言語に関する知識だけでなく、生きた言葉を実戦の中で学んでいくことになります。
一方で日本のように、他の学部が不合格だったという理由で、教師になるための勉強をしているという国も世界には多く存在しており、フィンランドにおける教師と比べると最初から大きなギャップが存在しているように思います。
さらに、その社会的重要性により、フィンランドにおいて教師は良い賃金を得られる仕事の一つでもあります。
フィンランドの教育の特徴5)指導法に厳しい基準が無い
フィンランドの学校では他国と比べて試験が少ない特徴があります。
なぜならば、学校の意味は試験に合格することではなく、学ぶことだと考えられているからです。
またフィンランドには、全国共通テストがありません(職業訓練高校を終える際の大学入学許可試験を除いて)。そのため、フィンランドの教育は他国のそれと比べて競争が少ないと言えます。
そして、フィンランドの教育システムの重要な特徴は、授業において教師が高い自由度を持っている点です。
もちろん、全国共通のカリキュラムはあります。しかしながら、そのカリキュラムの内容をどういった方法で履行するかは教師次第なのです。
結果、授業で自らの創造力と計画を活用出来るため、子供だけでなく先生のやる気も引き出されています。
繰り返しになりますが、フィンランドにおいて教師は、高度な教育を受けて尊敬されていて、教育の独立した専門家と見なされており、だからこそ信頼されて授業の進め方を任されているのです。
フィンランドの教育の特徴6)最適なタイミングを強調
フィンランドでは7歳から学校に通い始めます。
一方で、他の多くの国では、もっと低い年齢で学校が始まるかと思います。
例えば、アルゼンチンやパラグアイでは4歳から学校に通い始めると言われます。
しかしながら、4歳の子供が椅子に座って鉛筆を握る準備は、基本的にまだ出来ていないと考えることが妥当で、そのような状況で教育を押し付けられてしまっては、子供達のやる気を削いでしまうことにならないでしょうか?
また、フィンランドの学校では、学年を上げるには達成しなくてはいけない基準が設けられており、年齢と同時に学年が上がるわけではありません。
そのため、生徒一人ひとりに最適なペースで学力を伸ばしていくことが出来、やる気を失ってしまうようなこともなく、学力を高いレベルで維持することにつながるのです。
フィンランドの教育の特徴7)教育学の研究が重要視されている
フィンランドは、子どもの発達と教育学の研究をとても重要視している国です。
発達心理学と学習心理学の研究結果は授業に大いに応用され、「学習の本当の意味」に大変重きが置かれています。
また、学習目標の達成に関して言えば、「生徒のやる気」は最も重要な個人的要因と言え、授業もまた、「生徒のやる気」を見つけて育むことを大切にしています。
フィンランド教育では、暗記をするだけでなく「分析的で想像力豊な考え方」を育み学ぶことが強調されているのが特徴です。
フィンラドにおいては、情報をそのまま受け取るのではなく、その情報に疑問を抱き、自分なりに評価しながら理解を深めていくことが重要とされているのです。
フィンランドの教育の特徴8)やる気を重要視
学生主導の教育において、生徒は自力で考え、理解し、情報を探すよう促されます。また、それだけではなく、教師さえも答えられない質問を見つけるよう促されることもあります。
そしてこの場合、教師と生徒が一緒になって答えを追求します。
教師は教室を歩き回り、結論へと導き、助けが必要な生徒には助言をするのです。教師が教えて生徒は聞くだけの、教師主導の教育とは正反対ですよね?
フィンランドの教師は生徒を褒め、やる気を引き出し、励ますことが非常に大切であると理解しています。
そして評価制度も特徴的で、1度の期末試験という形式で行われるわけではなく、生徒自身も評価に参加して行われます。
たとえば、年度始めに(または毎週)自分自身で目標を決め、所定の学期になったら生徒と教師が一緒になってその目標を評価するのです。
つまりフィンランド人は、幼い頃から自分の学習に責任を持つことを学んでいると言い換えられるかと思います。
親や試験といった外的な動機ではなく、内側からの動機によって学ぶよう期待が込められていると言えるでしょう。
フィンランドの教育の特徴9)学校内の特別教育
世界中のどの教室においても、周りより早く学ぶ子供がいれば、ゆっくりと学ぶ子供もいます。
なかには、周りと比べて学ぶのがゆっくりな子供は、授業を繰り返し受けるよう強いられる教育システムの国もあります。
また他の国では、家庭が裕福な場合、お金を払って家庭教師や個人クラスを受けることも一般的です。
しかし、フィンランドでは、特別教育にとても重点が置かれています。ここで言う特別教育とは、周りと比べて学ぶのがゆっくりな子供に対して、専門の教師が配置されるというもの。
そうすることで、特別教育が必要な子供の助けになるだけでなく、教室全体の秩序を守ることになり、他の子供達にとっても良い影響を与えます。
このように、必要であれば学校内で手厚いサポートを受けられるため、フィンランドでは学校とは別に高価な塾へ生徒を通わせたり、家庭教師を雇う必要がありません。
フィンランドの学校の役目は、学ぶことが苦手な子供達にも教育を提供することであり、誰1人として置き去りにならないような工夫がなされているのです。
フィンランドの教育の特徴10)遊んで学ぶ
フィンランドの教育では「遊んで学ぶ」という特徴があり、学校での遊びはただの遊びではなく、必ず教育上の目的が秘められています。
これは、フィンランドの教育では、暗記して学ぶよりも実際に「実践して学んだ」方が身に付きやすいと考えられているからです。
また、実践して学ぶことは、学びに対する子供のやる気を高める「学びの喜び」を生み出す効果もあります。
例えば実験などの探求型学習では、子供はある出来事に惹きつけられ強い興味を持つようになり、その出来事や事象を自分自身で学ぶようになっていきます。
この場合の教師の役割は、学習プロセスの中で子供達を導く「助言者」や「やる気を引き出す人」に近くなります。
そして生徒は、情報を受動的に受け取るだけでなく、アクティブ・ラーナー(能動的な学習者)へと変化するのです。
フィンランドの教育の特徴11)宿題は少なくて授業日数は短め
フィンランドの学校は、他国と比べて統計的に宿題がとても少ないのが特徴です。
フィンランドの教育理念では、子供達は家ではなく学校で教わるべきだと考えられています。
そのため、「宿題の目的がすでに学校で行った学習を自力で行うことなのであれば、なぜ自由な時間にそれをし続けなくてはいけないか?」と言うのが、フィンランド教育が抱える宿題に対する疑問であり、結果、生徒たちに課される宿題は他国に比べると少なくなっているのです。
なかには、抱えきれないほどの宿題が子供に出される国もあります。その上、親が子供の代わりに宿題をしなくてはいけなかったり、宿題をする子供の助けになるよう家庭教師を雇わなくてはいけなかったりするほど、宿題が難しい国も少なくありません。
また、授業日数に関してもフィンランドの子供は他国の子供と比べて、学校で過ごす時間が統計的に短いため、自由な時間を楽しみ、子供が子供らしくいられる時間が確保されています。
学習のためにも、脳を休ませて勉強以外のことをする時間は重要です。
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フィンランドの教育の特徴から学べること|学校が変われば学力も社会も変わるのまとめ
教育において世界的にも目覚ましい発展を遂げているフィンランドの教育について、知っておきたい11の特徴を紹介してきました。
近年停滞している日本においても、根底である教育を改革することは重要な課題と考えると、フィンランドの教育や学校のシステムから学ぶことは多そうですね。
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